業種 : 経営コンサルティング業
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ナイトレジャー業でお金を借りられるのは、○○だけ!?
――田中先生、わたしもキャバクラで働いて5年目。自分のお店を持ちたいと思ってきました!できれば自分のお金で開業したいんですが、お金は借りられるんでしょうか?
田中さん「もちろん借りられますよ。ただし、制約があることを覚えておいてください。ガールズバーやキャバクラなどのナイトレジャー業は、一般的な銀行や信用金庫からお金を借りることは難しく、貸してくれるのは基本的に日本政策金融公庫(以下、公庫)のみなんです。」
――お金を借りる=銀行だと思っていました。なぜ銀行から借りるのは難しいのでしょうか?
田中さん「一番の理由は、風俗営業許可が必要な業界だからです。これはキャバクラだけではなく、ガールズバーやスナックも同じ。風俗営業にあたる店舗への融資はあまり好まれません。
また、○○銀行が借りられないからと××信金に行くことはおすすめしませんね。なぜなら、銀行に融資の申し込みをしても、貸していいかを判断するのは信用保証協会(以下、保証協会)なのです。審査するのは同じ保証協会なので、結果は変わりません。」

――そんななか、なぜ「公庫」は貸してくれるんでしょう?
田中さん「公庫は政府が100%出資をしている、いわば国の金融機関だからです。地域、ひいては国全体の活性化を目指しているため、新規事業の立ち上げに前向きなんです。
公庫には事業規模や業種ごとに複数の申し込み窓口があるので、新しくお店を始めたい場合は、【国民生活事業】という窓口へいきましょう。」
――【国民生活事業】ですね!開業資金を借りる際には、どういうところを見られるのですか?
田中さん「開業するときに見られるのは、ズバリ、①業界経験 と ②自己資金です。
公庫では、目安として6年間、同じ業種に勤めた人を経験者として考えます。特に、飲食業界(キャバクラ・ガールズバー・スナックも含む)は参入障壁が低いからこそ、経営ができるかを経験や実績で見られるんです。
いま働いて5年目であれば、来年の開業に向けて準備をするのにちょうどいいかもしれませんね。」
――6年以上なんですね!未経験や経験年数が短い場合は、どうしても難しいんですか?
田中さん「キャバクラやガールズバーなどの店舗型ビジネスの場合、「この人にはお客さんが来る」ということがわかる裏付けがあれば、借りられる場合もあります。
過去のお客様には、元外資系企業のセールスマンで、未経験ながらバーの開業で融資をうけた方がいました。そのときは、これまで培ってきた人脈リストを顧客想定リストとして提出しましたね。しかし1000万円の希望金額に比べ、実際の融資金額は750万円。やはり、経験年数は大事ということです。」
――経験年数によって借りられる金額が違うんですね。もう一つのポイントの「自己資金」はどれくらい必要なんでしょうか?
田中さん「自己資金は、300万円以上を準備しましょう。公庫の場合、自己資金の割合の目安は、希望金額に対する10分の1です。(昔は3分の1でした。)
しかし1000万円借りたい場合、100万円を準備すればいいという訳ではありません。自己資金は、「本当に開業したいのなら、少しずつでもお金を準備しますよね?」という、あなたの本気度を見られます。300万円貯めたということ自体が、一つの目安として判断されるんですよ。」
――6年以上の業界経験と300万円以上の自己資金、この2つがポイントなんですね!
お金を借りる際は、担保や保証人がいるとよく言いますが、お恥ずかしながら、車はローンで家も賃貸なんです…
田中さん「公庫の新規事業融資の場合、無担保・無保証で借りられるので、担保も保証人もいりませんよ。
また、担保や保証人があっても、金利が下がるだけで融資の可否には影響しません。公庫が評価するのは、あくまでも、あなた自身と事業そのものというものを覚えておいてください。」
–金利!そうですよね。当たり前ですが、お金は借りたら返さなければいけません。金利についても教えてください。
田中さん「金利は使い道や返済期間によっても異なるため、一概に何%かはお伝え出来ません。しかし朗報なのは、国として女性の起業が推進されており、公庫ではすべての女性が通常より低金利でお金を借りられます。
ほかにも35歳未満もしくは55歳以上の男性も、金利の優遇措置が受けられるため、男性は年齢というのも事業開始時期を選ぶポイントかもしれませんね。」

中小企業診断士が教える、事業計画書の作成はここがポイント!
――経験を6年積んで、300万円を貯めて…!しかし、いざお金を借りるには事業計画書が必要と聞きました。事業計画書ってどんな資料なのでしょうか?
田中さん「事業計画書とは、「その事業の可能性を伝えるもの」です。
これまで銀行は、融資するときに担保や保証人、決算書などを重要と考えていました。しかし、それらはいわば過去の情報。国として新規事業者や再出発する人を応援するために、未来の情報、つまり事業計画書をきちんと見るようになったのです。」
――公庫の事業計画書ってA3用紙1枚ですよね。これだと、わたしにも作れるかも。

田中さん「ちょっと待って!あくまでも公庫の事業計画書は、概要をまとめたものと考えてください。
事業計画書は、その内容の裏付けが一番重要なんです。ちなみに、わたしの会社ではA3の事業計画書と一緒に、約30ページの資料を準備します。
- 経営者の経歴
- 店舗のコンセプト
- ターゲット
- 営業条件(立地・席数・営業時間など)
- 仕入れ先の情報
- 開業スケジュール
- 売上予測
- 商圏の特徴
- 競合分析
- 競合に勝つための差別化戦略
- プロモーション活動
- 資金繰り表(5年分)
- 貸借対照表
- 損益計算書
特に求められるのは、納得感と数字の整合性です。
例えば、売り上げ予測を算出する際にも、「金曜日の午後20時に30代前半の男性2名できた場合、よく頼まれるお酒はビールと○○。だから客単価はこれくらいだな。席数とその時間帯の回転率はこれくらいだから、20-22時の売上は●円」など、売上の根拠を細かくあげます。」
――わあ。一気に難しそうになってきました…!わたしでも作れるでしょうか?
田中さん「大丈夫です、みんなが通る道ですから(笑)。開業する人におすすめなのが、「経営革新等支援機関(※)」に相談することです。弊社も、事業計画の作成などで支援機関として認定されています。
また、中小企業診断士に作成を依頼するのも手です。中小企業診断士は今後の事業性を描くことが仕事で、経営コンサルティングの国家資格と言われています。有料になりますが、「お金をかけてでも事業を成功したいかどうか」という姿勢が、お金を借りる際もプラスになるようです。
出典:ミラサポ https://www.mirasapo.jp/ninteishienkikan/about.html
参考:中小企業庁HP https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/
――そうなんですね!ぜひアドバイスをお願いしたいです。他には、どんなことを書くといいのでしょうか?
田中さん「マネジメント、お金の管理、営業の経験がある人はぜひアピールポイントにしましょう。
これらの経験がある人は、人ものカネの動きが分かっている、お客さんを獲得できる人だと思われます。」