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本記事をご覧の方は、以下のような状況でお悩みではありませんか?
- 売上低迷や資金繰りの悪化で廃業を検討している
- 廃業手続きの具体的な流れが分からない
- 廃業時の費用やリスクを最小限に抑えたい
キャバクラをはじめとした水商売では廃業率が非常に高く、せっかく開業しても1年以内に35%の店舗が閉店をしています。
廃業の多い業界ですが、いざキャバクラを廃業しようと思った時に具体的に何をしたらいいか正確に把握していないと、手続き漏れで追加費用が発生する可能性があります。
そこで本記事では、キャバクラ廃業時に経営者が知っておくべき重要なポイントを解説します。
- 廃業前に必ず確認すべき3つの準備事項
- 損失を最小限に抑える2つの廃業方法
- 行政への届け出と具体的な手続きの流れ
正しい手続きを行って、廃業時に困らないよう計画的に進めていきましょう。
キャバクラを廃業する前に必ず確認すべき3つのポイント
廃業する理由は色々とあると思います。売上の低下、主要キャストの離職、金銭的なトラブル、新型コロナウイルスの影響など。
いかなる理由においても「明日から閉店する」など急に閉店をするのではなく、計画的に閉店をすることで損失を最小限にすることが可能です。
廃業する前に以下の項目を必ず確認しておきましょう。
① 各種契約内容を徹底的に確認する
キャバクラを廃業する際には様々な契約内容を確認しておく必要があります。廃業のタイミングを間違えると、予想以上の費用負担が発生する可能性があります。
まず最初に確認すべきは、店舗の賃貸借契約です。多くの場合、3〜6ヶ月の解約予告期間が設定されており、急な廃業では無駄な賃料を支払うことになってしまいます。
- 店舗賃貸借契約:解約予告期間、現状復帰の義務、敷金の返還条件
- リース契約:カラオケ機器、POS、Wi-Fi等の残債と違約金
- 各種サービス契約:求人サイト、酒類卸業者、清掃業者等の契約期間
特に不動産に関しては規則が多いため、必ず大家さんに相談をしましょう。解約予告期間や現状復帰の義務などは契約書によって大きく異なります。
また、リース契約については2年契約などの場合、残り期間分の支払いや違約金が発生することがあります。これらの費用を事前に把握しておくことで、廃業時期の最適化を図ることができます。
② 廃業までの最適なスケジュールを計画する
キャバクラでは繁忙期と閑散期がはっきりしています。また、開業した月に応じて様々な契約の更新日もあります。これらの要素を無視して廃業を進めると、大きな機会損失につながります。
例えば、12月の忘年会シーズンや3月の歓送迎会シーズンは売上が大幅にアップするため、この時期を活用して最後の収益を確保することも可能です。一方で、契約更新のタイミングと合わせることで違約金を最小限に抑えることもできます。
スケジュール決定時の重要な考慮点
- 不動産などの契約更新タイミング
- 12月の忘年会シーズンなどの繁忙期
- 人気キャストのバースデーイベント時期
- 現状復帰工事の所要期間
繁忙期と更新日を考えて無駄にならないように廃業までのスケジュールを立てることで、最後まで売上を確保できます。
さらに、現状復帰工事には通常1〜2ヶ月程度の期間が必要です。工事期間中も賃料は発生するため、この期間も含めたスケジュール設計が重要になります。
③ 廃業に必要な総コストを正確に把握する
キャバクラを廃業する際には、想像以上に様々な費用がかかります。資金が尽きた時に廃業を考えるのではなく、資金に多少の余裕がある段階で廃業を行うことでトラブルを避けることができます。
店舗賃料の継続支払い
廃業時に店舗をすぐに閉めることはできますが、店舗の賃料は賃貸借契約書に定められている期間払い続ける必要があります。一般的には3〜6ヶ月程度の解約予告期間が設定されています。
内装工事・現状復帰費用
借りている店舗をスケルトンにして戻す場合には工事費用がかかります。キャバクラの内装は特殊なため、一般的な飲食店より高額になる傾向があります。
リース費用や解約違約金
キャバクラ営業時に使っていたカラオケやWi-Fi、POS等のリース契約で2年縛りなどになっている場合には、残り期間の支払いや違約金を払う必要があります。
キャストや従業員への給与・解雇予告手当
お店で雇っているキャストや従業員への解雇は30日以上前に伝える必要があります。すぐに閉店をする場合でも30日間は支払いを続ける必要があります。
損失を最小限に抑える:キャバクラ廃業の2つの方法
キャバクラを実際に廃業するとき、単にお店を閉めるだけでなく、居抜きとして販売したり、M&Aで事業を売却したりできます。
売上が悪く廃業する場合でも、少しでも損失を回収できるよう最適な方法を選択しましょう。
① 居抜き物件として売却する
店舗を売却する際は居抜き物件として売却されるケースが多いです。内装設備だけでなく、机やソファー、照明設備を売却するため、売り手と買い手の双方にメリットがあります。
- 売り手のメリット:現状復帰費用の削減、設備処分費用の節約
- 買い手のメリット:初期投資の大幅削減、早期開業が可能
ただし、契約によっては居抜き物件として販売することができないケースもあります。店舗の売却を検討している方は必ず事前に大家さんに確認をしましょう。
② M&Aで事業売却する
こちらの方法では事業売却としてキャバクラを売却します。居抜きと違って物件だけでなく経営権を譲渡するため、引き続き経営を続けてもらう形となります。
M&Aが適している場合は、以下の通り。
- 利益は出ているが、何かしらの理由で経営を続けることができない
- 優秀なキャストが多数在籍している
- 立地条件が良く、固定客が多い
- 営業許可等の手続きも含めて引き継ぎたい
M&Aの場合、のれん代として追加の対価を得られる可能性もあり、単純な居抜き売却より高額での取引が期待できます。
【買い手向け】キャバクラのM &Aとは?メリット、流れ、注意点を徹底解説!
キャバクラ廃業の具体的な手続きの流れ
キャバクラの経営には多くの関係者が関わっています。お客さんや従業員、各業者など多くの人が関わっています。突然お店を閉めてしまうと多くの人に迷惑をかけることになります。
特に従業員は別の仕事を探す必要があるため、なるべく計画的に閉店するように心がけることが重要です。
ステップ1:閉店日程を決定し、関係者に連絡
まずはじめに閉店の日程を決めていきます。閉店の日程は色々な点を考慮して決めることになりますが、必ず押さえておきたいポイントは以下の3点です。
- 不動産などの契約更新タイミング
- 売上が大幅にアップする繁忙期
- 現状復帰か居抜きでの引き渡しか
不動産などの契約更新のタイミングで閉店をすることで、違約金等を最小限に抑えることができます。また、12月や人気キャストのバースデーなどの売上がアップするタイミングも考慮に入れるといいでしょう。
ステップ2:大家さんへの連絡と物件処理の相談
閉店までのスケジュールが決まったら不動産や大家さんに連絡をします。
居抜き物件での売却を希望している場合は大家さんに連絡する前に売却相手を見つけておくことで交渉がスムーズに進みます。
ステップ3:リース品の処理・名義変更対応
リース品がある場合は対応方法を考えなければなりません。特に居抜きで譲渡する場合には名義変更なども必要になるケースもあります。
主なリース品の処理方法
- カラオケ機器:リース会社への返却または名義変更
- POS・レジシステム:データバックアップ後の返却
- Wi-Fi・通信機器:解約手続きと機器返却
ステップ4:各業者への解約連絡
キャバクラの経営では様々な業者と関わっています。
以下のような業者にも、しっかり解約連絡をしましょう。
- 求人サイト・媒体
- 酒類卸業者
- カラオケ・音響機器
- POSレジシステム
- ゴミ回収業者
- ネット回線・通信業者
- 清掃・メンテナンス業者
連絡を忘れてしまうと無駄な支払いが発生することもあります。
行政への届け出:必要な手続きと提出期限
キャバクラを廃業する際には開業時と同じように行政への届け出が必要になります。
届け出ごとに提出の場所や期限があるので、しっかりと確認をしてください。
① 保健所への廃業届提出
所轄の保健所へ廃業届を提出して飲食店営業許可書を返納します。
- 提出期限:廃業後10日以内
- 必要書類:廃業届(保健所指定様式)、営業許可書
- 注意点:届け出の用紙は保健所によって異なるため、窓口またはホームページで確認
② 消防署への防火管理者解任届
消防署へ防火管理者選任(解任)届出書を提出します。
- 提出期限:特に定められていない(早めの対応を推奨)
- 必要書類:防火管理者選任(解任)届出書
- 入手方法:所轄の消防署で用紙を取得可能
③ 警察署への風営許可書返納
キャバクラは風営許可を取得して営業しているため、廃業時には風俗営業許可書を返納しなければなりません。
- 提出先:所轄の警察署
- 必要書類:返納理由書、風俗営業許可書
- 追加対応:ガールズバーで深夜酒類提供飲食店営業の場合は廃止届書も提出
④ 税務署への廃業届提出
個人事業主としてキャバクラを経営していた場合には個人事業の開業・廃業等の届出書の提出が必要になります。
- 提出期限:事業を廃止した日から1ヶ月以内
- 必要書類:個人事業の開業・廃業等の届出書(廃業欄にチェック)
- 入手方法:国税庁ホームページからダウンロード可能
キャバクラ廃業に関するよくある質問(Q&A)
最後に、キャバクラを廃業する際によくある質問をご紹介します。
Q1. 廃業を決めてから実際に閉店するまでどのくらいの期間が必要ですか?
A. 一般的には3〜6ヶ月程度の期間を見込んでおくことをおすすめします。
店舗賃貸借契約の解約予告期間、キャストや従業員への解雇予告期間、各種契約の解約手続きなどを考慮すると、最低でも3ヶ月は必要です。
Q2. 居抜き売却とM&Aはどちらがお得ですか?
A. 店舗の状況によって異なります。
利益が出ておらず設備のみを処分したい場合は居抜き売却、営業権や顧客リスト、優秀なキャストも含めて引き継ぎたい場合はM&Aが適しています。
M&Aの方が高額での取引が期待できますが、買い手を見つけるのに時間がかかる場合があります。
Q3. キャストへの解雇通知はいつ頃行うべきでしょうか?
A. 法的には30日前までに通知する必要がありますが、できるだけ早めに伝えることをおすすめします。
キャストは次の職場を探す時間が必要であり、信頼関係を保つためにも誠実な対応が重要です。
ただし、情報漏洩のリスクもあるため、タイミングは慎重に判断しましょう。
Q4. 廃業時の税務処理で注意すべき点はありますか?
A. 廃業年度の確定申告は特に重要です。
廃業時の資産処分による損益、未回収売掛金の処理、減価償却資産の処分損益などを適切に計上する必要があります。
複雑な処理になるため、税理士に相談することをおすすめします。
Q5. 常連客への閉店連絡はどのように行うべきでしょうか?
A. できるだけ直接的な方法で、感謝の気持ちを込めて伝えましょう。
VIP客には直接電話で、その他の客には店内告知やDMで連絡するのが一般的です。
閉店理由は簡潔に伝え、これまでの感謝を表現することで、最後まで良好な関係を維持できます。
まとめ
キャバクラの廃業は、計画的に進めることで損失を最小限に抑え、関係者への迷惑を減らすことができます。
「終わりよければ全てよし」ということわざにもあるように、店舗の終わりとなる廃業をしっかりと行うことで、次のステップに向けた準備も整います。
適切な手続きと計画的な実行で、
新たなスタートに向けた基盤を築きましょう。
キャバクラ経営で培った経験とノウハウは、必ず次の事業でも活かすことができます。正しい廃業手続きを行い、堂々と次のステージへ進んでください。