開業できません!風営法の出店禁止区域について解説

ノウハウも資金も獲得して、いよいよキャバクラやスナックの開業を考えている水商売経営者の皆様、以下のような悩みをお持ちではありませんか?

水商売を開業するための立地選択には、風営法による厳格な禁止区域の規定があります。

そこで本記事では、以下の内容について詳しく解説していきます。

水商売における禁止区域の規定を正しく理解して、安全で確実な立地選択を行いましょう。

水商売が規制される風営法の禁止区域とは?

水商売の営業許可を取る上で立地の問題は思っているより深刻です。

すごくいい場所だと思ってすぐに契約してしまったけど、営業許可が取れなかった」というトラブルが実際に多発しています。

水商売が禁止されている場所は主に用途規制地域にあたります。これから用途地域について詳しく見ていきましょう。

用途地域とは何か

用途地域とは、都市計画法によって住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用が定められた区分です。
この用途地域は大きく以下の3つのカテゴリーに分けられます。

これらの区分は、同法に基づいて、おおむね5年に一度、全国一斉に見直されるため、古い情報に頼らず最新の状況を確認することが重要です。

水商売の営業許可が取得可能な用途地域

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律において、水商売(風俗営業)の許可を受けることができる用途地域は限定されています。

営業許可が取得可能な地域は以下の4つです。

一方、以下の地域では水商売の営業が一切禁止されており、どれほど条件の良い物件であっても営業許可を取得することはできません。

これらの禁止地域は住環境の保護や産業活動の適正化を目的として設定されており、例外的な許可が認められることはありません。

禁止区域の確認方法

最も確実にその場所の用途地域を確認する方法は、公的機関への直接確認です。

以下の手順で確実に調べることができます。

これらの方法の中でも、特に電話による確認は最も迅速で確実な手段です。

住所や建物名を正確に伝えることで、その場で用途地域の種別を教えてもらえます。

住居地域に少しでもかかっている場合は完全アウト

水商売以外の一般的な建築においては、建築基準法で異なる地域にまたがっている土地は、どちらの土地が半分以上を占めているかで用途地域が決定されます。

したがって、建物すべてが営業可能な地域に含まれているかを必ず確認してください。

通常の不動産会社は風営法の詳細を理解していないことが多いため、水商売に適さない物件を紹介される可能性があります。

保護対象施設による立地制限

用途地域による制限をクリアしても、店舗周辺に保護対象施設があると、風俗営業の許可を受けることはできません。

ただし、この制限は風俗営業(接待を伴う営業)に限定されるため、接待行為がないスナックやガールズバーを開業する場合は対象外となります。

保護対象施設の種類

保護対象施設とは、風俗営業から有害な影響を受けないよう風営法によって一定の保護を受ける施設のことです。

これらの施設は青少年の健全育成や公衆衛生の観点から特別に保護されています。

これらの施設は、それぞれ法令で明確に定義されており、施設の規模や運営主体に関係なく保護対象となります。

特に注意が必要なのは、見落としがちな小規模な診療所や私立の児童福祉施設です。

地域別・施設別の詳細な制限距離

施設の種類や店舗所在地の用途地域によって、必要な離隔距離が細かく規定されています。

以下の表は、営業予定地の用途地域と保護対象施設の組み合わせによる制限距離をまとめたものです。

この表からも分かるように、商業地域が最も制限が緩く、近隣商業地域、準工業地域・工業地域の順で制限が厳しくなります。

営業予定地の選定時には、この距離制限を必ず考慮に入れる必要があります。

都道府県別の特例規定

一部の都道府県では、独自の条例により上記の制限が緩和されている場合があります。

特に東京都では、東京都公安委員会規則により営業しやすい環境が整備されています。

東京都の商業地域内では、学校(大学を除く)・図書館・児童福祉施設から50m以上、大学・病院・診療所(8床以上)から20m以上、助産施設・診療所(1-7床)から10m以上の距離があれば営業可能です。

これらの特例規定は各都道府県で異なるため、営業予定地の具体的な規定については必ず管轄の公安委員会に確認してください。

水商売禁止区域違反の法的処罰

禁止区域での営業は単なる行政指導では済まされません。

刑事罰の対象となる重大な法令違反として扱われ、経営者には厳しい処罰が科せられます。

禁止区域違反による法的リスク

風営法の禁止区域で営業を行った場合、以下のような重大な法的リスクが発生します。

風営法違反は刑事犯罪として扱われ、営業者には厳しい処罰が科せられる可能性があります。

これらの処罰は非常に重く、特に刑事処罰を受けた場合は将来的な事業展開にも大きな影響を与えます。

禁止区域での営業は「知らなかった」では済まされない重大な違法行為として扱われるため、事前の確認が絶対に必要です。

摘発に至る一般的なパターン

禁止区域での営業が発覚する典型的なパターンとして、近隣住民からの苦情が挙げられます。

住居地域や学校周辺などの保護が必要な地域での営業は、地域住民の強い反発を招きやすく、警察への通報につながる可能性があります。

また、長期間にわたって営業を続けていても、摘発リスクが消失することはありません。むしろ、営業期間が長いほど地域での認知度が上がり、発覚する可能性が高まる場合があります。

一度摘発されれば、営業停止だけでなく刑事事件として立件される可能性も。

チェックリストに従って開業までのスケジュールを立てる

水商売の開業時にはやらなければならない作業がたくさんあります。
その全てを紙に書き出すことは、開業の経験者でも難しいことです。 このような方向けにしています。
チェックリストに従って開業準備を行うことができます。

是非ご活用ください。
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水商売の立地選定で失敗しないためのチェックリスト

契約前に必ず確認すべきポイントを体系的にまとめました。

これらのチェックポイントを確実に実行することで、立地選定での失敗を完全に回避できます。

用途地域確認における必須項目

まず最も重要なのが用途地域の確認です。

市区町村役所での正式確認と都市計画図での最新情報確認を必ず行い、不動産業者の情報を鵜呑みにしない慎重なアプローチが重要です。

これらの確認作業は手間がかかりますが、後々の大きなトラブルを回避するためには絶対に欠かせないプロセスです。

特に、建物の一部でも住居地域にかかっている場合は営業できないため、境界線付近の物件については特に慎重な確認が必要となります。

保護対象施設の徹底調査

次に重要なのが保護対象施設の調査です。

半径100m圏内の学校・図書館を全て確認し、周辺の病院・診療所については病床数まで詳細に調べる必要があります。

児童福祉施設は見落としがちなポイントなので、徹底的に調査してください。

これらの調査は時間がかかりますが、営業開始後の摘発リスクを考えれば必要不可欠な投資といえます。

法的リスクを完全に回避する対策

最終的な安全確認として、風営法に詳しい行政書士等の専門家への相談を強く推奨します。

管轄警察署生活安全課への事前相談も実施し、営業可能性を公的機関から確認してもらうことが最も確実な方法です。

契約書には風営法適合を条件とする特約を盛り込み、万が一の場合でも損失を最小限に抑える対策を講じておきましょう。

営業許可取得の確実性については複数のルートで確認し、一つの情報源だけに頼らない慎重なアプローチが重要です。

水商売の禁止区域に関するよくある質問

最後に、水商売の禁止区域に関してよく寄せられる質問とその回答をご紹介します。

①「商業地域」の表示があれば絶対に営業できますか?

商業地域であっても、保護対象施設との離隔距離が不足していれば営業できません。

用途地域と保護対象施設の両方をクリアする必要があります。また、商業地域内であっても建物の一部が他の地域にまたがっている場合は営業できない可能性があるため、詳細な確認が必要です。

②スナックやガールズバーも同じ制限を受けますか?

接待を伴わないスナックやガールズバーは「深夜酒類提供飲食店」として届出を行うため、保護対象施設による制限は受けません。

ただし、用途地域による制限は適用されるため、住居地域での営業は不可能です。営業形態によって適用される法令が異なることを理解しておきましょう。

③違反した場合の罰則はどの程度ですか?

風営法違反は刑法上の犯罪であり、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、または両方が科せられる可能性があります。

また、営業停止命令や許可取消処分も併せて受けることになり、事業継続が困難になります。刑事罰を受けた場合、将来的な営業許可取得にも影響を与える可能性があります。

④不動産業者が「大丈夫」と言っていたのに違反だった場合は?

不動産業者の判断ミスであっても、営業者の責任は免れません。必ず自身で確認するか、風営法に詳しい専門家に相談することが重要です。

不動産業者への責任追及は別途検討できますが、刑事責任や行政処分は回避できません。契約書に風営法適合を条件とする特約を入れておくことをお勧めします。

⑤既存の建物が後から保護対象施設になった場合は?

既存の営業については一定の経過措置が設けられる場合がありますが、詳細は管轄の公安委員会に確認が必要です。

新規営業の場合は現在の規制が適用されます。経過措置についても期限が設けられることが多いため、将来的な対応策を検討しておくことが重要です。

⑥確認方法で最も確実な手段は何ですか?

管轄警察署の生活安全課での事前相談が最も確実です。

用途地域と保護対象施設の両方について、営業予定地の住所を伝えて営業可能性を確認してもらえます。この確認により、営業許可申請前に問題点を把握し、適切な対応策を検討することができます。

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まとめ:水商売の禁止区域は事前確認しよう

今回は、水商売における風営法の禁止区域について詳しく解説しました。

特に重要なポイントは、以下の4点。

この記事が、あなたの水商売開業成功の一助となれば幸いです。




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