目次
キャバクラやスナックを開業する際、風営法が定める「個室の定義」「面積基準」「壁の構造要件」を満たさなければ、警察の許可が下りず開業できません。
結論から言うと、キャバクラの個室自体は禁止されていません。
ただし「1室あたり16.5㎡以上(和風なら9.5㎡以上)」という面積基準を満たし、施錠設備を設けず、客室内に見通しを妨げる設備を置かない構造にする必要があります。
この基準を満たさないVIPルームや個室は、警察の検査で指摘され、許可が下りない原因になります。
本記事では以下を解説します。
- 風営法で規定されている面積基準
- 客室の壁・構造に関する要件
- 違反を避けるためのポイント
キャバクラ・スナックの面積・個室基準 早見表
まず結論から確認してください。
業態によって基準が異なります。
| 項目 | キャバクラ(風俗営業1号) | スナック(深夜酒類提供) |
|---|---|---|
| 客室面積(洋風) | 16.5㎡以上 | 9.5㎡以上 |
| 客室面積(和風) | 9.5㎡以上 | 9.5㎡以上 |
| 客室が1室のみの場合 | 面積制限なし | 面積制限なし |
| 個室への施錠 | 禁止 | 禁止 |
| 1mを超える仕切り・ついたて | 禁止 | 禁止 |
| 営業時間 | 原則0時まで(延長許容地域は1時まで) | 0時以降も可 |
キャバクラは許可制、スナックなど接待をしない店は届出制という違いもあります。
以下で詳しく解説します。
風営法が定めるお店の広さ(面積)基準

規定されているのは店全体の広さではなく、客室の面積です。
面積基準を正しく理解しておけば、内装工事のやり直しを防げます。
①客室に当たる場所と当たらない場所
風営法における客室の定義は「接待、ダンス、遊技等が行われる客の用に供する区画された場所」です。
以下の場所は客室に当たらないため、面積計算に含める必要はありません。
- 従業員・キャストのみが使用する部屋(クローク・調理場・控室)
- 接待や遊技が行われない場所(お手洗い・廊下)
- スタッフ専用の事務所や倉庫
- キッチンや洗面所
面積は壁の厚みを含まず、客室の内側の床面積で測ります。
②キャバクラは1室16.5㎡以上(和風は9.5㎡以上)
キャバクラで風俗営業1号の許可を取るには、客室1室の面積が16.5㎡(和風の場合は9.5㎡)以上である必要があります。
ただし客室が1室のみの場合は、面積制限の対象外です。
VIP席や個室があると客室が2つ以上になるため、それぞれの部屋が基準を満たさなければなりません。
個室を1つ足しただけで、ホールと個室の両方が16.5㎡を求められる点に注意してください。
③スナックは9.5㎡以上
スナックで深夜酒類提供飲食店の届出をするには、客室の床面積が9.5㎡以上であることが必要です。
こちらも客室が1室のみなら制限はありません。
多くのスナックはカウンター越しの対面型で客室が1室になるため、床面積が問題になるケースは少なくなります。
キャバクラの個室は禁止?風営法が定める構造的要件

結論から言うと、キャバクラに個室を作ること自体は違法ではありません。
実際、VIPルームを設けている店舗は数多く存在します。
重要なのは、客室を密室にしないことです。
面積基準を満たしたうえで、以下の構造要件をクリアすれば個室は合法的に設置できます。
①外からは見えないように、中は見通せるように
風営法では客室の構造について、以下の3つが定められています。
- 営業所の外部から客室の内部を見通せないこと
- 営業所の外部に通ずる出入口を除き、客室の出入口に施錠の設備を設けないこと
- 客室に見通しを妨げる設備がないこと
外からは中が見えないようにし、客室の内部は見通せるようにするという組み合わせです。
1つ目は、居抜き物件でガラス製のドアや壁が残っている場合に問題になります。
透過性が高いと外から客室が見えてしまうため、シートを貼るなどして対策してください。
②個室に鍵を付けると検査が通らない
2つ目の規定は、個室があるお店が対象です。
個室に鍵を付けると検査が通らず、警察の立入りの際にも指摘されます。
外部に通じる出入口以外には、施錠設備を取り付けてはいけません。
ドアノブだけで開閉できる構造にしておきましょう。
③1mを超える仕切りは置けない
3つ目の規定は、すべてのキャバクラ・スナックが対象です。
高さ1mを超えるついたてや仕切りが客室にあると、検査で指摘されます。
装飾目的でも、移動式でも規制の対象になる点は変わりません。
ソファの背もたれや観葉植物で視線を遮る配置にしている場合も、実質的に見通しを妨げていれば指摘されることがあります。
④客室の壁・内装に関する要件
客室の壁や内装については、以下の2点が定められています。
- 風俗を害するおそれのある写真・広告物・装飾等がないこと
- 条例で定める騒音または振動の数値に満たないようにするための構造または設備を有すること
風営法等の解釈運用基準では、以下が「風俗を害するおそれのある」ものに該当するとされています。
- 法に違反する行為を行っていることをうかがわせる広告
- 著しく射幸心をそそるおそれのある広告
- 男女の性交場面を写した写真
- 衣服を脱いだ人の姿態を被写体とする写真
キャストのランキング表を掲示する際も、下着姿の写真を使うと違反になります。
衣服を着た状態の写真を使用してください。
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警察検査で指摘されやすいポイントと対策

指摘されやすいのは、ガラス・施錠・仕切りの3点です。
いずれも内装工事の前に確認しておけば、手戻りを防げます。
①透明ガラスや窓の処理
入口や窓にガラスが使われている場合、外部からの見通しを遮る対策が必要です。
- 不透明なシートやフィルムを貼付する
- ブラインドやカーテンは移動できるため不十分とされる場合がある
- 半透明やスリガラスでも不十分と判断されることがある
着脱できるものではなく、常時遮られている状態にしておくのが確実です。
②個室の施錠設備
VIP室や個室を設ける場合の注意点です。
- 個室のドアに鍵を設置してはいけない
- 外部出入口以外の施錠は禁止
- ドアノブのみで開閉できる構造にする
居抜き物件では既存のドアに鍵が残っていることが多いため、内見時に確認しておきましょう。
③見通しを妨げる設備の撤去
客室内の設備配置で、最も注意すべき点です。
- 高さ1mを超えるついたて・仕切りは設置禁止
- 装飾目的でも基準は同じ
- 移動式・固定式を問わず規制対象
検査に通った後で仕切りを足すと、立入りの際に指摘されるため注意が必要です。
日頃から基準を満たした状態を維持しておきましょう。
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風営法基準違反を避けるためのチェックリスト

開業前に、以下の項目を1つずつ確認してください。
①面積・構造チェックリスト
- □ 客室に当たる場所と当たらない場所を区別できている
- □ 客室が2室以上ある場合、各室が面積基準を満たしている
- □ 外部からの見通しを完全に遮断している
- □ 個室に施錠設備を設置していない
- □ 1mを超える仕切りやついたてを撤去している
図面と実際の内装が違うと検査に通らないため、変更があれば事前に相談しておきましょう。
②壁・内装チェックリスト
- □ 不適切な写真や広告物を撤去している
- □ 条例の騒音基準を満たす構造にしている
- □ キャストの写真は衣服を着た状態のものを使用している
- □ 装飾品が風営法に適合している
防音工事は簡易なもので50万円程度から、本格的な工事は200万円以上かかるため、早めに見積もっておくのが安全です。
風営法の面積・個室基準に関するよくある質問
①キャバクラに個室を作ること自体は違法ですか?
いいえ、違法ではありません。
面積基準と構造要件(施錠禁止、外部からの見通し遮断、1mを超える仕切りの禁止)を満たせば、個室やVIPルームを合法的に設置できます。
②客室面積の計算方法がわかりません
客が接待や遊興のために使用する区画の床面積を測定します。
壁の厚さは含まず、内側の床面積のみを計算してください。
複数の客室がある場合は、それぞれが基準を満たす必要があります。
③和風・洋風の判断基準は何ですか?
畳敷きかフローリングかで判断されるのが一般的です。
明確な統一基準はなく、内装や備品を踏まえて所轄の判断になる部分もあります。
畳を使用した客室は9.5㎡以上、フローリングや絨毯の客室は16.5㎡以上が目安です。
④見通しを妨げる設備の「1m」はどこを測るのですか?
床面からの高さで測定します。
幅や奥行きは関係なく、床から1mを超える高さの仕切りやついたてが禁止されています。
装飾目的であっても、同じ規制が適用されます。
⑤ガラス張りの壁はどう対処すればよいですか?
不透明なシートやフィルムを貼り、外部からの見通しを完全に遮断してください。
半透明やスリガラスでは不十分と判断されることがあるため、完全に不透明にするのが確実です。
⑥騒音の基準値はどこで確認できますか?
風営法にもとづく都道府県の条例で定められており、地域区分によって数値が変わります。
東京都の場合、住居が集合している地域では昼55dB・夜50dB・深夜45dB、商店が集合している地域では65dB・60dB・55dBが基準です。
数値は都道府県ごとに異なるため、営業予定地の条例を確認してください。
⑦検査で指摘された場合はどうなりますか?
指摘事項を改善したうえで、再度確認を受けることになります。
改善にかかる期間や再検査の扱いは所轄によって異なるため、開業スケジュールには余裕を持たせておきましょう。
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まとめ:キャバクラの個室は基準を満たせば合法
キャバクラの個室は禁止されておらず、面積基準と構造要件を満たせば合法的に設置できます。
押さえるポイントは以下の4点です。
- 客室が2室以上なら、各室が16.5㎡以上(和風は9.5㎡以上)必要
- 外部からは客室内を見通せないようにする
- 個室に施錠設備を付けない
- 1mを超える仕切りやついたてを置かない
内装工事の前に図面を持って所轄へ相談しておけば、手戻りをほぼ防げます。
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