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ガールズバーを始めるにあたり、以下のような悩みを抱える方は多いでしょう。
- ・「ガールズバーに必要な営業許可ってなに?」
- ・「許可の取得方法は?特別な資格などは必要?」
ガールズバーでは、正しい営業許可を取得しないと違法営業になってしまうケースもあるので注意が必要。
本記事では、ガールズバーの営業許可に関して以下の内容を紹介していきます。
- ガールズバー開業には営業許可が必要
- 風俗営業許可の取得方法
- 深夜酒類提供飲食店営業許可の取得方法
- ガールズバーで違法営業になるケース
読後はガールズバーの経営に必要な許可と、その取得方法が理解できるはずです。
これからガールズバーを始めようと思っている方はぜひ参考にしてみてください。
ガールズバー開業には営業許可が必要
結論から言うと、ガールズバーの開業には、以下2つのいずれかの営業許可が必要となります。
- 風俗営業許可:「接待を伴う営業」が行えるようになる許可
- 深夜酒類提供飲食店営業許可:「深夜0時以降の営業」が行えるようになる許可
どちらも取得するのは不可能で、必ず「どちらか一方」を取得しなければなりません。
要するに、自身のお店の営業スタイルに合った許可を取得することが求められます。
それぞれの営業許可についてより詳しくみていきましょう。
風俗営業許可
こちらは「深夜0時以降の営業ができなくなる代わりに、接待を伴う営業」が行える許可です。
なお「接待」とは具体的に以下のような行動。
- ・お客さんにお酌をする
- ・お客さんのカラオケに手拍子したり、デュエットしたりする
- ・一緒にゲームをして遊んだりする
- ・お客さんと体を密着させたり、手を握ったりする
逆にいえば上記のようなスタイルで経営を行う場合は、「風俗営業許可」を取得しなければ違法になるので注意が必要。
その場合深夜0時以降の営業は違法になるので、そちらも合わせて注意してください。
ただガールズバーではカウンター越しでの接客がメインかと思いますので、基本的には「深夜酒類提供飲食店営業許可」が適しているでしょう。
深夜酒類提供飲食店営業許可
こちらは「接待ができなくなる代わりに、深夜0時以降もお店を営業できる」許可です。
ガールズバーの場合は接待が必要ないケースが多いため、基本的にはこちらの許可を取得するといいでしょう。
ただしキャストが意図せず接待をしてしまわないよう、教育はしっかり行うようにしてください。
でないと違法営業として摘発される可能性があります。
必ず必要になる「飲食店営業許可」
また、お酒や食事を提供する場合は「飲食店営業許可」が必要となります。
ガールズバーではお酒を出すでしょうから、接待の有無に関わらず、必ずこちらの許可が必須となるでしょう。
まとめると、ガールズバーに必要な営業許可は以下2つのどちらかです。
接待を伴う営業をする場合
飲食店営業許可+風俗営業許可
深夜0時以降も営業をする場合
飲食店営業許可+深夜酒類提供飲食店営業許可
お客さんと密着するなど特別なコンセプトやサービスがない限りは、後者の許可で問題ないでしょう。
いずれにせよ、許可を取得する際は
- ・お店の営業スタイルに合った許可を取得すること
- ・違法営業にならないよう注意すること(接待なのか、深夜0時以降の営業なのか)
この2つに特に注意してください。
ガールズバーでの風俗営業許可の取得方法
それでは、ここからは2種類の営業許可の取得方法を紹介していきます。
まずはガールズバーでの「風俗営業許可」の取得方法は、以下の3ステップです。
- 3つの条件(人・場所・設備)の確認
- 風俗営業許可の申請書類等の作成
- 所轄警察署へ申請書類の提出
それぞれ詳しくみていきましょう。
3つの条件(人・場所・設備)の確認
まず「風俗営業許可」ですが、どの店舗でも取得できるわけではなく、取得のための要件を満たす必要があります。
具体的に言うと、以下の3点。
事業主や管理者が以下に該当していないか(該当していたらNG)
- ・成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ていないもの
- ・1年以上の懲役もしくは禁固刑に処せられ、その執行が終わった日(または執行を受けることがなくなった日)から5年を経過していないもの
- ・無許可風俗営業、不正受許可、名義貸し、公安委員会の処分に対する違反、公然わいせつ・わいせつ物頒布・淫行勧誘・賭博・売春防止法違反・職業安定法違反・労働者派遣法・労働基準法・児童福祉法違反等・入管法でもしくは罰金刑に処せられ、1年未満の懲役その執行が終わった日または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していないもの
- ・集団的に、または常習的にに暴力等を行う恐れのあるもの
- ・精神病者またはアルコール・麻薬・大麻・覚せい剤の中毒者
- ・風俗営業許可を取り消され、取り消しの日から起算して5年を経過していないもの
以下「保護対象施設」と一定の距離がある場所か(一定の距離が空いていないとNG)
- ・学校
- ・図書館
- ・児童福祉施設
- ・病院
- ・入院施設のある診療所など
1号営業の場合
- ・客室の床面積が1室16.5㎡以上(和室の場合は1室9.5㎡以上)とすること。ただし客室が1室のみの場合は制限はありません
- ・客室の内部が店の外部から容易に見通すことができないこと
- ・客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと
- ・善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと
- ・客室の出入口に施錠の設備を設けないこと
- ・店舗内の照度(明るさ)が5ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること
- ・騒音又は振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること
- ・ダンスをするための構造又は設備を有しないこと
まずはそれぞれの要件を満たしているか確認しましょう。
ただ設備や場所など、専門家に聞かないと難しい部分もあるため、場合によっては行政書士への依頼を検討してもいい部分です。
風俗営業許可の申請書類等の作成
続いては書類の作成ですが、作成する書類は基本的には以下の6つです。
- ・営業許可申請書
- ・営業設備の大要
- ・食品衛生責任者設置届
- ・許可申請手数料
- ・水質検査成績書
- ・登記事項証明書(法人の場合のみ)
しかし自治体によって作成する書類は異なりますので、一度確認してみてください、
また、書類作成の前に一度お近くの警察署に事前相談しておくとより安心でしょう。
所轄警察署へ申請書類の提出
書類を作成したら管轄の警察署へ申請書類を提出しましょう。
申請後、警察及び浄化協会が営業所を訪問調査し、店舗の構造や設備が申請書類及び許可要件に合っているかチェックします。
そこで問題がなければ後日許可証が交付され、手続きは終了です。
ガールズバーでの深夜酒類提供飲食店営業許可の取得方法
続いて「深夜酒類提供飲食店営業許可」の取得方法を見ていきましょう。
手続きは以下の3ステップです。
- 3つの条件(人・場所・設備)の確認
- 必要書類を用意し、作成する
- 所轄警察署へ申請書類の提出
基本的には「風俗営業許可」と同じ流れを汲むことになります。
詳しく解説していきます。
3つの条件(人・場所・設備)の確認
「深夜酒類提供飲食店営業許可」も誰でも取得できるわけではなく、人・場所・設備に関しての要件を満たしている必要があります。
基本的には風俗営業許可と同様の要件にはなりますが、地域によって詳細が異なるので、一度自治体に問い合わせてみると確実です。
必要書類を用意し、作成する
続いては、以下の書類を作成しましょう。
- ・深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書
- ・営業の方法を記載した書類
- ・定款および登記事項証明書
- ・飲食店営業許可
- ・住民票(本籍地が記載されているもの)
- ・図面(店舗の平面図・営業所求積図・照明・音響設備など)
- ・賃貸契約書・使用承諾書
- ・用途地域証明書
- ・メニュー表
よくわからずに書類を作成して不備があると二度手間ですので、開業経験がある方や行政書士などに頼ってもいいでしょう。
所轄警察署へ申請書類の提出
書類を作成したら、所轄警察署に申請書類の方を提出しましょう。
不備等がなければ、届出が受理された10日後には深夜営業を開始できるようになります。
なお、風俗営業許可と異なり許可証のようなものは配布されません。
ガールズバーで違法営業になるケース
最後に、ガールズバーで違法営業になるケースを3つ紹介していきます。
- 風俗営業許可なしに「接待」を行なっている場合
- 深夜酒類提供飲食店営業許可なしに「深夜0時以降の営業」を行なっている場合
- 18歳未満を雇っている場合
せっかく手間をかけて許可を取得しても、ルールに反していれば、例え故意でなくとも罰せられてしまいます。
それぞれ解説していきますので、ぜひ意識してみてください。
風俗営業許可なしに「接待」を行なっている場合
まず、風俗営業許可なしに「接待」を行なっている場合は違法営業となってしまいます。
接待というと定義が難しい部分ではあるのですが、基本的に以下のような行為はNGです。
- ・お客さんにお酌をする
- ・お客さんのカラオケに手拍子したり、デュエットしたりする
- ・一緒にゲームをして遊んだりする
- ・お客さんと体を密着させたり、手を握ったりする
東京都のガールズバー8店舗が無許可で接待を行なっていたとして摘発されるケースも実際に起きています。
特にガールズバーの場合は風俗営業許可を取得していないケースも多いでしょうから、キャストの教育はしっかり行うようにしましょう。
深夜酒類提供飲食店営業許可なしに「深夜0時以降の営業」を行なっている場合
続いて、深夜酒類提供飲食店営業許可なしに「深夜0時以降の営業」を行なっている場合も違法営業となります。
接待を伴う営業をする場合は風俗営業許可を取得する必要がありますが、その場合深夜0時以降の営業はできません。
もしお客さんを接待するコンセプトのガールズバーであれば、営業時間0時は厳守するようにしましょう。
18歳未満を雇っている場合
最後に、18歳未満の未成年を雇用している場合も違法営業となります。
労働基準法
- ・18歳未満の人を深夜帯(22時〜5時)に働かせてはいけない
- ・以下の業務は禁止されている
衛生又は福祉に有害な場所における業務
酒席に侍する業務
特殊の遊興的接客業における業務
ガールズバーの営業は上記に該当するため、18歳未満を働かせてはいけないのです。
実際、12歳の少女をガールズバーで働かせていたとして、オーナーが逮捕されたケースも起きています。
「知らなかった」で済まされる問題ではないので、面接の際はキチンと年齢確認を行うようにしましょう。
まとめ
今回はガールズバーに必要な営業許可について紹介してきました。
結論として、ガールズバーの営業に必要な許可は以下2パターンのうちどちらか。
接待を伴う営業をする場合
飲食店営業許可+風俗営業許可
深夜0時以降も営業をする場合
飲食店営業許可+深夜酒類提供飲食店営業許可
お店の営業スタイルに合わせ、適切な許可を取得しましょう。
また、許可を取得した後はちゃんとルールを守って営業することも大切です。
違法営業にならないよう自分自身が気をつけることはもちろん、スタッフへの指導もしっかり行うようにしましょう。