水商売(キャバクラ・ホストクラブ・パブ・スナック)の経営者の中で、
「夜のお店が払わないといけない税金って何があるの?」
「税金って複雑そうだから考えたくもないなー」
「税金は学ばないといけないのは分かるけど、どこから始めればいいのだろう?」
といった悩みを抱えている方はいるのではないでしょうか。
この記事はこういった問題を解決すべく、シンプルに分かりやすく税金について説明していきます。
今まで税金対策がよくわからず、税理士に全てを任せていた方も参考にしてみてください。
税金には様々な種類があり、それぞれが複雑でわかりにくい場合も多々あります。そのため全てを知っておく必要はありませんが、自分がどこに、いくら払っているのかは最低限知っておきたいものです。
さらに、しっかりと税金を払っている人には様々な特典が用意されています。それらを駆使することで今よりも払う税金が少なくなる場合もあるので確認してみてください。
また、法人か個人事業主によって税金の仕組みは大きく変わってくるため、それぞれについて支払わなければならない税金を紹介していきます。
そして、税金を支払う場合に決算や確定申告をしなければなりません。自分は払うつもりでも、決算や確定申告にミスがあったり忘れてしまった場合には罰則があることもあります。
決算と確定申告の違い、税金を払わないとどのような罰則があるのかなども全てまとめてありますので参考にしてみてください。
意外と知らない、確定申告と決算の違い
経営者にとって確定申告、決算と聞いただけで頭が痛くなってしまう人もいるかもしれません。
一般的には下で説明するような一連の流れを
- 法人 確定申告
- 個人事業主 決算
と呼ぶことが一般的です。しかし、厳密には以下のように区別されています。
決算は内部での計算作業
決算とは1年間の売上や仕入や経費などを計算して1年間分の利益を確定させる作業をいいます。
個人なら1月から12月まで、法人なら1会計期間の利益を計算します。
確定申告は提出する申請書作り
確定申告とは決算で出された利益をから様々な税金を計算して、納税額を確定していく作業です。
個人なら所得控除や税額控除、法人なら税務調整などを行って納税額を決めていきます。
「キャバクラの新常識!税金対策ができるPOSシステムのトラストを大解剖!」
水商売の法人が払う5種類の税金を徹底解説!
法人として水商売を経営している方は法人税など、以下の5つの税金を払わなければなりません。
今回はそれぞれの税金に関して、どこよりもわかりやすく説明していますので、この機会にしっかり確認してみてください。特に法人税に関しては複雑であるため税理士任せにしている方も多くいると思いますので、特にわかりやすくまとめてみました。
法人税は3種類にわかれている
法人税は法人所得税、法人事業税、法人住民税の3つがあります。いきなり漢字だらけでわかりにくい気もしますが1つ1つはそれほど複雑ではありません。
また、法人所得税は国税、法人事業税と法人住民税は地方税となっています。
1. 法人所得税
一つ目の法人所得税とは法人が1年間で得た、所得(利益)に対してかかる税金です。厳密には所得と利益は異なるものですが、利益にかかる税金だと考えてもらっても大丈夫です。
税法による税金の計算では
所得金額(利益) = 益金(売上) — 損金(費用)
となります。益金とは法人税法上で認められている収入であり、損金とは原則として全ての原価、費用、損失の額とされています。つまり、その年の売上から原価や人件費などを引いた、会社の稼ぎが所得ということになります。
そして、法人所得税とはその所得金額に法人税率を掛け合わせた値となります。
法人所得税 = 所得金額 × 法人税率
利益が基準となっているため、赤字だと法人所得税は0円ということになります。
よく税金を払わないために、利益をなくすというのは、この所得税の事を指しています。
法人税は近年、引き下げされているため変わることがよくあります。
正確な税率は財務省の法人税率の推移を参考にしてください。
2. 法人事業税
法人事業税とはその都道府県内で事業所又は事務所を設けて事業を行っている法人が納める税金です。つまり、法人事業税は都道府県に納める税金です。
法人事業税額 = 所得 × 法人事業税率
所得によって支払う金額が変わってきます。また、赤字であれば税額は0となります。
さらに、法人事業税は上記の2つの税とは違い、翌年度の費用に換算できるという特徴があります。
税率は年によって変化してくるため、正確な税率は財務省の税制改正の概要を確認してください。
3. 法人住民税
法人であっても一般の住民のように自治体の公的なサービスを受けているため、住民税を支払わなければなりません。これは会社がある地方自治体に納めることとなりますが、基本的には都府県民税と市町村民税の2つに分かれています。そして、それを総じて法人住民税と呼ばれています。ただし、東京23区にのみ事業所がある場合は例外的に都民税に一括されて支払われます。
法人住民税の計算の仕方は少し複雑ですが以下の式になります。
法人住民税 = 法人税割(法人税額×住民税率) + 均等割
4. 消費税
キャバクラなどの水商売の店ではお客さんの支払いのときに消費税を預かっているため、それをお客さんの代わりに税務署に納める必要があります。原則として預かった消費税からすでに支払った消費税を差し引いて納めます。例えば税抜きで5000万円の売上があって、お酒などの仕入れで2000万円払っていたとすると以下の式になります。
納める消費税額 = 5000万円 × 8% — 2000万円 × 8%
従って、支払うべき消費税額は240万円となります。
詳しい計算方法などは財務省の消費税の概要を参考にしてください。
5. 源泉徴収税
キャストやホステスなどに料金や報酬を支払う時に、あらかじめ所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。しかし、源泉徴収仕組みなどは他の業種とは大きく異なるため注意も必要です。
そして、事業主はこの源泉徴収で集めた税金を従業員に変わって納めなければなりません。
源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額は
源泉徴収すべき額 = (報酬 — 5000円×その月の日数)×10.21
となります。
詳しい計算方法は国税庁のホステス等に支払う報酬・料金を参考にしてください。
水商売の個人事業主が支払う5つの税金
次に個人事業主が納めなければならない税金について見ていきます。個人で事業をしている場合は自分でしっかりと確認をしておかなければ取り返しのつかないことになる可能性もあります。日々の生活やニュースなどから消費税や所得税に関してはなんとなく理解しているかもしれませんが、その他にも個人事業税や源泉徴収税などもありますので確認をしてください。
1. 所得税
個人事業主にとって所得税はとても重要となってきます。特に所得の計算の仕方は少し複雑なので最初は大変かもしれません。
所得税とは、その年の1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得に課せられる税金です。つまり稼ぎに対して課せられているため、稼ぎが黒字でなければ所得税は0ということになります。申請期間は翌年の2月16日から3月15日までと定められているため、自らが計算をして申告してください。
そして所得税は以下の計算式で出されます。
課税所得金額 = 総収入 — 必要経費 – 各種控除
所得税額 = 課税所得金額 × 税率
課税所得金額
課税所得金額とは、総収入から必要経費と各種控除を差し引いた値です。総収入とは1月1日から12月31日までの1年間の売上であり、必要経費とは商品の仕入れ金額やキャストなどへの人件費などになります。各種控除とは所得控除や青空申告特別控除など様々な控除があり、それらを差し引くことができます。
所得税額
そして、上記の所得課税金額に以下の税率をかけたものが所得税額になります。
所得税の速算表
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円越え 330万円以下 | 10% | 97500円 |
330万円越え 695万円以下 | 20% | 427500円 |
695万円越え 900万円以下 | 23% | 636000円 |
900万円越え 1800万円以下 | 33% | 1536000円 |
1800万円越え 4000万円以下 | 40% | 2796000円 |
4000万円超 | 45% | 4796000円 |
2. 個人事業税
個人事業税とは個人がその地域で事業を行っていることに対して課されている税金です。したがって、こちらは地方税となります。
所得税と異なり、自分で計算しなくてもいいのが大きな特徴です。
納税は8月と11月に行います。所得税の確定申告を行っていれば8月に行政からから納税通知書が送られてきます。そこに書かれている通りに金融機関等で納税を行います。
{ 課税所得金額(青色申告特別控除を控除する前) — 事業主控額(290万円) } ×税率(5%)
まず、個人事業税には青色申告特別控除は適応されません。他方で事業主控除が受けられるため年間で290万円の控除があります。つまり、事業所得又は不動産所得の金額が290万円以下の場合は個人事業税は0となります。
そして、税率は水商売であれば基本的に5%になります。
3. 住民税
住民税も地方税であり、その地域で生活をする人に広く分割して払ってもらうという目的で課せられています。こちらも個人事業税と同じで自ら計算をする必要はなく、住まいの市区町村から納税額の通知書が送付されてきます。そして、その通知書に書かれている通りに金融機関等で納税します。
納税は一般的に6月、8月、10月、1月の年4回あり、前年の所得に対して課せられています。分割して払うことも一括で払うことも可能です。
住民税額 = 課税所得金額 × 税率 — 税額控除額 + 均等割
こちらも自分で計算する必要はありませんが、通知書が届いた際は確認してみてください。
4. 消費税
消費税の計算方法は法人と同じですが、2年前の売上が1000円以下の個人事業主は免税事業者として考えられるため、納税の必要がありません。
5. 源泉徴収税
こちらは法人の場合と同じです。
税金を納めなかった時に起こる3つの問題
税金をきちんと納めている人は気にする必要がありませんが、うっかり納め忘れてしまったら様々な問題が生じてしまいます。税金を納めないということは社会的な信用を失うことになりますので、しっかりと納めるようにしてください。
税金の優遇がなくなってしまう
青色申告特別控除が受けられなくなる
まず、税金の優遇が受けられなくなります。日本には期限までにしっかりと税金を納めている人を優遇する青色申告と呼ばれる制度があります。この青色申告をしていると様々な場面で青色申告特別控除が受けられます。しかし、これはあくまでもしっかりと期限までに税金を納めている会社が受けられる優遇制度であるため、税金を納めていない会社は恩恵を受けることができません。
赤字が繰り越せなくなる
会社を設立してすぐは赤字が続く会社も少なくはありません。ですが数年後に事業がうまくいき、黒字化してきたとします。通常は黒字化したら、その分の所得に対して税金を支払わなければなりません。しかし、青色申告の会社であれば最高で赤字を9年間繰り越すことができます。そのため、黒字になってもしばらくは税金を支払わなくても大丈夫です。
税金の罰則金がかかってしまう
税金を期限までに支払わなければ罰金がかかってしまいます。1日でも遅れてしますと罰金の対象となりますので注意が必要です。
税務署に言われる前に提出をすれば原則5%、指摘をされた後に提出をしたら約15%〜20%の税率がかかってしまいます。さらに、税金の支払いが滞ると利息として3%~9%を支払わなければなりません。
銀行の融資が受けられなくなる可能性がある
銀行の融資を受ける場合には決算書などの提出を求められます。確定申告をしていないと申請書を提出することができず、銀行からの融資が受けられません。また、申請書を提出した時にそれが期限後であれば銀行からの信頼を失って、融資を得るのが難しくなります。
許認可がもらえなくなる可能性がある
新店舗の出店などで役所に許可書を求める時なども期限内に確定申告をしていない場合だと印象がよくありません。期限内に確定申告をしているかどうかはその会社の社会的な信用に大きく関わってきますので期限はしっかりと守りましょう。
税金は過去5年前まで申請できる!
日本では国民の義務として納税しなければなりませんが、万が一税金を納め忘れていても5年前までさかのぼって申請することができます。5年をすぎたら納めることができなくなり、最悪の場合には意図的に納めなかったと判断されて脱税の罪になる可能性もあります。
まだ税金を納めていないという方は、遅れてでも納めるようにしましょう。
水商売店舗の店舗が絶対に知っておきたい税務調査の裏側
キャバクラはその日の売上が現金で管理されやすい現金商売です。さらに、給与が現金で日払いされることもあります。
また、水商売業界は「脱税」のイメージが強く税務調査に狙われやすいと言われています。
一度税務調査に入られると、最悪の場合数億円の税金を請求されることもあります。
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キャバクラやホストなどの水商売での税金対策はしっかりと!
水商売(キャバクラ・ホストクラブ・パブ・スナック)のお店の経営やキャストの管理などでなかなか税金に関しては手が回らないかもしれません。
しかしそれでも税金に関して基本的な知識だけはしっかりと身につけておきましょう。数式などを全て覚える必要はありませんが、どのような税金をいくら支払っているかは把握しましょう。
今回は個人事業と法人のそれぞれの税金の種類とポイントを紹介しました。
自分のお店が払う必要のある税金を把握して、しっかり税金を払うようにしましょう。