水商売経営者が支払う5つの税金とは?個人事業主・法人別に解説

水商売経営者の中で、

といった悩みを抱えている方はいるのではないでしょうか。

この記事はこういった問題を解決すべく、税金についてシンプルにわかりやすく説明していきます

税金には様々な種類があるうえ複雑ですので、全てを把握する必要はありません。

しかし、商売を行う上で税金の知識は知っておいて損はありませんし、税金をしっかり払うことで様々な特典も得られます。

よって、今まで税金対策がよくわからず、税理士に全てを任せていた方も、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。

水商売の法人が払う5種類の税金を徹底解説!

法人としてキャバクラなどの水商売を経営している方は、以下の5つの税金を払わなければなりません

  • 1. 法人税
  • 2. 法人事業税
  • 3. 法人住民税
  • 4. 消費税
  • 5. 源泉所得税

ご覧の通り法人が支払う税は法人税、法人事業税、法人住民税、消費税、源泉所得税の5つがあります。

いきなり漢字だらけでわかりにくい気もしますが1つ1つはそれほど複雑ではありませんので、それぞれ見ていきましょう。

1. 法人税

一つ目の「法人税」とは法人が1年間で得た、所得(利益)に対してかかる税金のこと。

厳密には所得と利益は異なるものですが、「利益に対してかかる税金」だと考えてもらっても大丈夫です。

税法による所得の計算は、

所得金額(利益) = 益金(売上) — 損金(費用)

となります。

つまり、その年の売上から原価や人件費などを引いた、会社の稼ぎが所得ということ。

そして、法人税は、この所得金額に「法人税率」を掛け合わせた値となります。

法人所得税 = 所得金額 × 法人税率

利益が基準となっているため、赤字、つまり経費が売り上げを上回ると法人所得税は0円になるという計算です。

この法人税率は、所得金額が年800万円以下の部分は15%、800万円超の部分は23.2%ですが、今後変わる可能性もありますので、財務省のホームページで確認してください。

2. 法人事業税

「法人事業税」とは「その都道府県内で事業所又は事務所を設けて事業を行っている法人が納める税金」です。

つまり、法人事業税はお住いの「都道府県に納める税金」。

法人事業税額 = 所得 × 法人事業税率

このように、所得によって納める税金の金額が変わってきます。

また、法人税と同様に、赤字であれば税額は0になるという計算です。

さらに、翌年度の費用に換算できるという特徴も。

計算は事業規模によって変化してくるため、総務省の地方税制度を確認してください。

3. 法人住民税

続いての税金は、法人住民税。

法人であっても一般の住民のように自治体の公的なサービスを受けているため、地方自治体に住民税を支払わなければなりません。

この住民税は、都府県民税と市町村民税の2つに分かれているケースが一般的で、これらを総じて法人住民税と呼ぶことが多いです。

ただし、東京23区にのみ事業所がある場合は例外的に「都民税」として一括されます。

そんな法人住民税の計算の仕方は、少し複雑ですが以下の通りです。

法人住民税 = 法人税割(法人税額×住民税率) + 均等割

この「均等割」は赤字でも課税されるため、住民税は赤字でも納税する必要があります。

4. 消費税

続いて水商売で必要となる税金は、消費税です。

キャバクラなどの水商売の店ではお客さんの支払いのときに消費税を預かっているため、それをお客さんの代わりに税務署に納める必要があります

預かった消費税から、すでに支払った消費税を差し引いて納めるのが原則。

例えば税抜きで5000万円の売上があって、お酒などの仕入れで2000万円払っていたとすると、

納める消費税額 = 5000万円 × 10% — 2000万円 × 10%

といった計算。

従って、支払うべき消費税額は300万円となります。

詳しい計算方法などは国税庁のホームページを参考にしてください。

インボイス制度に関して

なお、令和5年10月からインボイス制度が開始され、インボイス対応の領収証を発行するためには、免税事業者であっても課税事業者を選択し、インボイス制度に登録してインボイス番号を取得する必要があります。

お客さまの立場でいうと、会社の接待交際費として「消費税の課税仕入れ(消費税の計算上、差し引くこと)」とするためには、お店が発行する領収証にインボイス番号が記載されていなければなりません。

お店がインボイス対応の領収証を発行できない場合は、お客さまが消費税分について損をしてしまうので、インボイス対応の領収証を発行できるお店にお客さまが流れて、売上が減ってしまう恐れがあります。

消費税の課税事業者で会社での接待交際利用がある水商売を営む場合は、インボイス制度の登録は必須ですので、登録を忘れていたということがないようにしましょう。

売上規模が1,000万円以下の免税事業者である場合は、客層を考慮した上で、消費税の課税事業者を選択してインボイス制度に登録するか決める必要があります。

また、インボイス制度が導入されると、インボイス対応の領収証を発行できないキャストへの支払報酬については、消費税の課税仕入れにできず、その分の消費税をお店が肩代わりすることになり、納める消費税が増加します。

インボイス制度については、段階的な経過措置もありますが、どのように対応するか判断が難しい場合は、早めに税理士に相談することをオススメします。

5. 源泉所得税

水商売法人が払う必要がある最後の税金は、源泉所得税。

これは、ホステスに料金や報酬を支払う時に、あらかじめ所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければいけない税金です。。

しかし、キャバクラなどの水商売でホステス等(フロアにおいて客に接待をして遊興や飲食をさせる人、バーテンダーは除く)に対する源泉徴収の仕組みが他の業種と大きく異なるため、注意が必要。

また、事業主はこの源泉徴収で集めた税金をホステスに代わって納めなければなりません。

源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額は

源泉徴収すべき額 = (報酬 — 5,000円×計算期間の日数))×10.21%

となります。

この「計算期間の日数」とは、「営業日数」または「出勤日数」ではなく、ホステス報酬の支払金額の計算の基礎となった期間の初日から末日までの全日数です。
月払いの月末締めの場合、計算期間は、3月分なら31日、4月分なら30日となります。

詳しい計算方法は国税庁のホステス等に支払う報酬・料金を参考にしてください。

水商売の個人事業主(キャバクラ・ホストクラブ・パブ・スナック)が支払う5つの税金

ここまで水商売の法人が支払う5つの税金を紹介してきました。

次は、水商売を行う個人事業主が納めなければならない、以下5つの税金について見ていきましょう。

  • 1. 所得税
  • 2. 個人事業税
  • 3. 住民税
  • 4. 消費税
  • 5. 源泉所得税

キャバクラやスナックなどを個人事業として行っている場合、自分で税金をしっかり確認しておかないと、取り返しのつかないことになってしまう可能性もあります

それぞれ理解し、2月16日~3月15日の確定申告時にしっかり税金を納めるようにしましょう。

1. 所得税

水商売を行う個人事業主が納める税としてまず挙げられるのが、所得税。

所得税とは、その年の1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得に課せられる税金です。

つまり利益に対して課せられているため、利益が黒字でなければ所得税は0ということになります。

申請期間は翌年の2月16日から3月15日までと定められているため、自らが計算をして申告します。

計算式は以下の通り。

課税所得金額 = 総収入 — 必要経費 – 各種控除
所得税額 = 課税所得金額 × 税率

この2つの値について、より掘り下げてみていきましょう。

課税所得金額

課税所得金額とは、総収入から必要経費と各種控除を差し引いた値です

この総収入とは1月1日から12月31日までの1年間の売上であり、必要経費とは商品の仕入れ金額やキャストなどへの人件費などになります。

各種控除とは所得控除や青色申告特別控除など様々な控除があり、それらを差し引くことが
可能です。

所得税額

上記の所得課税金額に以下の税率をかけたものが所得税額になります。

所得税の速算表

課税される所得金額税率控除額
195万円まで5%0円
195万以上 330万円まで10%97500円
330万円以上 695万円まで20%427500円
695万円以上 900万円まで23%636000円
900万円以上 1800万円まで33%1536000円
1800万円以上 4000万円まで40%2796000円
4000万円以上45%4796000円

自身で計算するので最初は大変かもしれませんが、一度確定申告してしまえば、翌年以降はどんどん難易度が下がっていくはずです。

なお、法人税率は23.2%ですので、所得税率が33%となる900万円以上の所得金額になる場合には、法人化することを検討するタイミングの一つとなります。

2. 個人事業税

続いては、個人事業税。

個人事業税とは個人がその地域で事業を行っていることに対して課されている税金です。

こちらは地方税となり、所得税と違って、自分で計算しなくてもいいのが大きな特徴です。

納税は8月と11月に行い、所得税の確定申告を行っていれば8月に行政からから納税通
知書が送られてきますので、そこに書かれている通りに金融機関等で納税を行いましょう。

{ 課税所得金額(青色申告特別控除を控除する前) — 事業主控額(290万円) } ×税率(5%)

税率はキャバクラ、スナックなどの水商売であれば基本的に5%です。

また、この式を参照すると個人事業税には青色申告特別控除は適応されず、事業主控除が受けられるため、年間で290万円の控除があります。
要するに所得(売上ー経費)が290万円以下であれば、個人事業税はかかりません。

3. 住民税

続いては、住民税。

住民税も地方税であり、その地域で生活をする人に広く分割して払ってもらうという目的で
課せられています。

こちらも個人事業税と同じで自ら計算をする必要はなく、住まいの市区町村から納税額の通知書が6月ごろに送付されてきますので、その通知書に書かれているとおりに金融機関等で納税しましょう。

納税は一般的に6月、8月、10月、1月の年4回あり、前年の所得に対して課せられています。

分割して払うことも一括で払うことも可能です。

住民税額 = 課税所得金額 × 税率 — 税額控除額 + 均等割

こちらも自分で計算する必要はありませんので、通知書が届いた際に金額だけ確認してみてください。

4. 消費税

続いては、消費税。

消費税の計算方法は法人と同じですが、2年前の売上が1000万円以下の個人事業主は免税事業者として、納税の必要はありません

しかし逆に言うと、2年前の売上が1,000万円を超えるようであれば、個人事業主でも消費税を納める必要が生じます。

また令和5年の10月からインボイス制度が開始しました。
詳細は上記の「インボイス制度に関して」をご確認ください。

5. 源泉所得税

最後は源泉所得税。
源泉所得税については、個人事業者であってもキャストやホステスを雇用している場合は、法人と同じ取扱いになります。

税金を期限内に申告しなかった時に起こる3つの問題

ここまで水商売経営者が納めるべき税金を紹介してきましたが、あなたはきちんと確定申告は行っているでしょうか?

税金をきちんと申告している人は気にする必要がありませんが、うっかり忘れてしまったら様々な問題が生じてしまいます。
具体的な問題として挙げられるのは、以下3つです。

  • ①税金の優遇がなくなってしまう
  • ②税金の罰則金がかかってしまう
  • ③許認可がもらえなくなる可能性がある

無申告は社会的信頼の喪失に繋がりますので、それぞれのデメリットをしっかり押さえ、申告・納税の意識を高めていきましょう。

①税金の優遇がなくなってしまう

(個人事業者)青色申告特別控除の一部が受けられなくなる

まず、申告期限まで申告していないと、税金の優遇が受けられなくなります。

というのも、期限までにしっかりと記帳して申告している人を優遇する「青色申告」と呼ばれる制度があります。

個人事業者の場合には、青色申告を申請し、複式簿記で記帳して、期限内に申告した場合には最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。

しかし、これはあくまでもしっかりと期限までに申告している個人事業者が受けられる優遇制度であるため、期限後で申告する場合の控除額は最大10万円となります。

(法人)赤字が繰り越せなくなる

続いて、法人の場合には、2年連続で期限内に申告がない場合には、青色申告を取り消されて、赤字を繰越せなくなるというデメリットもあります。

青色申告の法人であれば最大で10年間赤字を繰り越すことができ、利益が上がって所得が出た場合には、所得から控除することが可能です。

一旦、青色申告が取り消されてしまうと、1年間は再申請できないため、取り消された決算期は白色申告、次の決算期は再申請できず、取り消された1年後にすぐ再申請しても次の次の決算期の申請期限には間に合わないため、少なくとも3期分は白色申告となってしまいますので、その間の赤字は繰り越せなくなります。

②税金の罰則金がかかってしまう

税金には罰則が定められており、税金を期限までに支払わなければ罰金がかかってしまいます。

1日でも納税が遅れてしまうと無申告加算税という罰金の対象となりますので注意が必要です。

肝心の罰金額はというと、税務署から調査の連絡を受けるまでに提出をすれば納めるべき税額の5%、調査の連絡後に提出したら、15%〜20%の無申告加算税が課せられます。

さらに、税金の支払いが滞ると、延滞税という利息相当の罰金を納付期限から2か月までは年利約2.5%、2か月を超えると約9%を日割り計算で支払わなければなりません。

③許認可がもらえなくなる可能性がある

新店舗の出店などで役所に許可書を求める時なども、期限内に確定申告をしていない場合、印象がよくありません。

期限内に確定申告をしているかどうかはその会社の社会的な信用に大きく関わってきますの
で、期限はしっかりと守りましょう。

銀行の融資が受けられなくなる可能性がある

また、税金をしっかり納めていないと、銀行からの融資が受けられなくなる可能性も。

というのも、銀行の融資を受ける場合には決算書などの提出を求められます。

しかし確定申告をしていないと申請書を提出できないため、銀行からの融資を受けることができないのです。

また、申請書を提出した時にそれが期限後であれば、銀行からの信頼を失ってしまい、融資を得るのが難しくなります。

税金は過去5年前まで申告できる

日本では国民の義務として納税しなければなりませんが、万が一申告を忘れていても5年前までさかのぼって申告することが可能です。

水商売の営業を行っているにもかかわらず、申告していない場合は、税務署が目を光らせており、最悪の場合には意図的に納めなかったと判断されて国税局の査察調査が入り、脱税の罪になる可能性もあります。

まだ税金を申告していないという方は、調査で指摘されて申告する場合の罰金が大きく、脱税と判断された場合は7年間さかのぼることになりますので、遅れてでも申告するようにしましょう。

水商売店舗の店舗が絶対に知っておきたい税務調査の裏側

キャバクラをはじめとした水商売は、その日の売上が現金で管理されやすい、いわゆる「現金商売」といわれるものです。

給与が現金で日払いされることもあるなど、記録に残りにくいお金のやり取りも多いため、水商売業界は「脱税」のイメージが強く、税務調査に狙われやすいと言われています。

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経営者でも意外と知らない「確定申告」と「決算」の違い

ちなみにですが、「確定申告」と「決算」の違いってわかりますか?

この2つは似ているようで別物ですので、最後に「確定申告」と「決算」の違いを見ていきましょう。

きっちりルールが定められているので、まずはそれぞれの定義を紹介していきます。

決算は内部での計算作業

決算とは「内部での計算作業」を意味し、1年間の売上や仕入や経費などを計算して1年間分の利益を確定させる作業です。

個人なら1月から12月まで、法人なら1会計期間の利益を計算します。

確定申告は提出する申告書作り

確定申告とは「提出する申告書づくり」を意味し、決算で出された利益から様々な税金を計算して、納税額を確定していく作業です。

個人なら所得控除や税額控除、法人なら税務調整などを行って納税額を決めていきます。

提出期間は個人なら、毎年2月16日~3月15日、法人なら決算期末から2ヶ月後が原則です。

これはキャバクラやスナックなどの水商売も同様に行われますので、しっかりと期間中に確定申告書を提出するようにしましょう。

キャバクラの新常識!税金対策ができるPOSシステムのトラストを大解剖!

キャバクラやホストなどの水商売での税金対策はしっかりと!

今回は、水商売(キャバクラ・ホストクラブ・パブ・スナック)を経営するオーナー様向けに、税金に関する知識を紹介してきました。

税金はしっかり管理しておきたいポイントですが、お店の経営やキャストの管理などで、なかなか手が回らない方も多いのではないでしょうか?

しかしそれでも税金に関して基本的な知識だけはしっかりと身につけておくのがおすすめ。

数式などを全て覚える必要はありませんが、どのような税金をいくら支払っているかを把握しておくことで、節税の意識が芽生えたり、税に関するトラブルを未然に防いだりできるようになるはずです。

ぜひ今回の内容を参考に、税金に関しての苦手意識を少しずつでも変えていきましょう。




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