目次
キャバクラを経営する上で、
「このまま個人事業主として経営していて損はないのかな?」
「そもそも個人事業主と会社の違いってなんだろう?」
「お店の規模は大きくなってきたけど具体的にいつ、どうやって法人化するといいのだろう」
このような疑問を持たれている方がいるのではないでしょうか。
この記事では、それらの疑問を解決します。
また、法人化の知識がないために起きる以下の失敗を回避できます。
- せっかく多くの手続きをして『個人事業主』から『会社』にしてキャバクラを経営したのに逆に損になってしまっている
- 『会社』にした方がとてもお得になるのに個人事業主のまま営業してしまっている
キャバクラの経営者として、無駄な税金や費用は払わず、スマートな経営を目指していきたいものです。
この記事は、上記の疑問や損をしてしまう状況を回避するために、法人化するタイミングと方法を解説します。
そこでこの記事では、以下の流れで解説していきます。
- キャバクラを個人事業主として経営することのメリット・デメリット
- キャバクラを会社として経営することのメリット・デメリット
- 個人事業主から法人化するときのタイミングと方法
ではまずは個人事業主のメリットから見ていきましょう!
キャバクラを個人事業主として経営するメリットって何?
個人事業主とは、個人で事業を行っている人のことを指します。言い換えますと、自分でお店を経営している人のことです。
では実際に個人事業主のメリットは具体的にどういったことがあるのでしょうか。
既に個人事業主としてキャバクラを経営されてる方の中に、
「なんとなく最初はキャバクラを個人事業主として開業したけど、そもそも個人事業主のメリットってなんだろう」
「キャバクラを法人化しようかと最近考えているけど、個人事業主の良さも知っておかないと後々問題が起きそうだな」
と感じている方はいるのではないでしょうか。
そこで、ここでは個人事業主のメリットを5つのポイントに沿って詳しく解説していきます。
開業が簡単
個人事業主の場合は、開業届を出すだけで事業を始めることができます。
しかし、会社にはいろいろな手続があり、個人事業主と比べると開業が大変になります。
開業の費用が抑えられる
法人の場合は開業費用20~30万円がかかりますが、個人事業主の場合は開業届を出すだけで、開業費用がかかりません。
よって会社の起業と違い、開業のハードルが低く、リスクが少なくなります。
所得税を削減できる!
個人事業主になると、最大で65万円の所得を削減することができます。
ただしこの場合、青色申告をする必要があります。
無制限で交際費を経費として計上できる!
個人事業の場合、接待にかかる飲食や贈り物にかかる費用を無制限に経費として確定申告の際に計上することができます。
特にキャバクラは接客業ですので、お客さんや他のお店の店長さんとの交際費を経費として計上することができることは大きなメリットと言えます。
法人の場合はこの交際費に制限がかかります。
会社は規模が大きくなりその分交際費が高くなることが予想されるため、規制が厳しくなります。
具体的には、
資本金1億円以下の法人 = 年間800万円まで
資本金1億円を超える法人 = 全額計上不可
となります。
社会保険に加入しなくて済む!
会社の場合は強制的に加入しなければならず、従業員の数が増えるほどその分社会保険料の負担が大きくなります。
個人事業主の場合はその社会保険に加入しなくて済むので、その分の負担がなくなります。
キャバクラを個人事業主として経営するデメリット
では次にキャバクラ個人事業主のデメリットについて解説していきます。
個人事業主の経営者の中で、メリットはなんとなく知っていたけどデメリットについてはあまり理解していないといった方がいるのではないでしょうか。
「こんなデメリットがあったんだ」
「このデメリットがあるなら、自分のお店は会社にしたほうがいいかな」
といった気づきや変化があるかもしれません。
デメリットを知ることで、個人事業主としてお店を運営することが自分のお店に向いているのかどうかがより明確になっていきます。
では実際に4つのポイントに沿って見ていきましょう。
複雑な記帳が必要になる
個人事業主のメリットの1つに所得を65万控除することができると説明しましたが、それには青色申告の複式簿記という記帳が必要になります。
この記帳は複雑で毎年行う必要があります。
つまり、個人事業主で経営することで控除額が大きく費用が少なくなりますが、複雑な記帳を毎年やらなければなりません。
所得が多いと納税額が増える
個人事業主の所得税は累進課税なので、売上が増えるほど税が高くつきます。
具体的に、所得が900万以上の場合33%、1800万円以上は40%となっていきます。
一方法人の場合、800万円以下は15%、800万円以上でも25.5%です。
信用の低さ
個人事業主の事業は会社と比べると信用度が低いです。
この信用度というのは、個人のお客と会社からの信用のことです。
そのため、以下のような事例があります。
- 信用の低さの面
- 個人事業主とは取引しない会社が存在する
- 会社のほうがウェブサイトの運営元から信頼されやすい
- 事業への信頼が会社のほうが高い
- 法人化したお店の方がキャストを集めやすい
- 銀行からの融資は個人の事業だと受けにくい
事業失敗の責任は個人が負う
会社の場合、事業の失敗などによる債務は、会社が負担することになります。
しかし個人事業主の場合は、オーナー自身が全ての責任を負うことになります。
よって、何百万何千万と損害が生じた場合もオーナーその全責任を負うことになるのです。
キャバクラを会社として経営するメリットって何?
個人事業主は交際費が無制限で計上できたり社会保険に加入しなくてもいいということから個人事業主の方がいいのでは?と感じた方がいると思われます。
しかし、逆に個人事業主のデメリットから、会社のメリットも確認することができたのではないでしょうか。
そこで次は、キャバクラを会社として経営することのメリットについて説明していきます。
信頼が得られる
キャバクラを会社として経営することによって、信用度が得られます。
信用が得られることによって取引先との契約、お客からの信頼、銀行からの融資が受けやすくなります。
その他には、高い信頼性からキャストを集めやすいという利点も考えられます。
個人で運営しているお店よりも、会社として運営しているお店の方が儲かっているとイメージ付けられ、それが働く上での安全性や待遇の良さに連想されうるからです。
経費項目が多い
交際費に関しては個人事業主の方が会社よりも良いと説明しました。
しかし、全体的に見れば会社の方が経費計上できる項目が多いです。
そのため、ある程度の売上があれば節税効果が期待できます。
事業失敗の責任はオーナーではなく会社が負う
事業に何らかの問題が起き損害が出たとき、会社として経営を行っている場合はオーナーがすべての責任を負うのではなく、限られた範囲の責任だけを負うことになります。
例えば1000万円の損害が出た場合、個人事業主の場合はその金額全ての責任を負う必要がありますが、会社の場合はその一部で済みます。
よって、損害に対するある程度のリスクは会社の方が少なくすることができます。
節税できる手段が多い
個人事業主と違い、節税の手段が多くあることが会社の大きなメリットです。
例えば、個人事業主の所得税と会社の法人税を比べると、法人税の方が税の累進性がとても低いです。
よって、個人事業主よりも節税が期待できます。
ただし、これはある程度利益がある場合に限ります。
利益が低い状態で会社として経営してしまうと、逆に余計な税金が掛かってしまいます。
どれくらいの利益が出ていれば会社にするべきかに関しては、最後の項目で説明します。
キャバクラを会社として経営するデメリットって何?
「個人事業主として経営していたけど儲かってきたしそろそろ法人化しようかな」
「けど法人化するときに気をつけることってなんだろう??」
このようにお店の法人化を考えている方の中にはこういった疑問を持っている方がいると思われます。
そこで、次はキャバクラを会社として経営する上で知っておくべきデメリットに関して説明していきます。
デメリットを知った上で、失敗のないスマートな法人化を目指しましょう。
赤字でも払わないといけない税金がある
個人事業は赤字だと所得に課せられる税金は発生しません。
しかし、会社の場合はいくら赤字が出ていたとしても、地方税が年間必ず発生します。
よって、売上の不調が続いてしまった場合、会社だと財政をより圧迫するにつながってしまいます。
融資の申請が遅い
個人事業ではすぐに融資申請をすることができますが、会社の場合はまず法人を設立しないければ融資申請することができません。
そのため法人化する場合、融資がなくとも自分のお店の資金だけで十分営業できる状態で開業できることがベストです。
なぜなら、融資ありきの経営をしようとしている場合、手続きがスムーズに進まなければ営業する上でトラブルが起きる可能性があるからです。
設立費用がかかる・開業手続きの手間
個人事業が開業届を出すだけで開業できるのに対し、会社の場合はまず設立自体に費用がかかります。
また、会社設立の手続きも複雑で、個人事業と比べると開業までに時間がかかります。
社会保険への強制加入
個人事業主は、雇用者が4人以下の場合は任意加入です。
しかし会社の場合、雇用している人数に関係なく社会保険への加入が義務付けられています。
社会保険の分だけ人件費が高くなるため、その分個人事業で経営するよりも負担が大きくなります。
廃業にも費用がかかる
法人化した場合は、事業の廃業時にも費用がかかります。
具体的には3万円程です。
会社設立時から廃業に関してはあまり考えないかもしれませんが、知識として知っておくことに損はありません。
法人化のタイミングと方法
今までの説明で度々、ある程度の売上がないと法人化は負担になるというということを書いていましたが、
「そもそもある程度ってどのくらいの利益が出ていれば法人化することに適しているの?」
「ずっと個人事業主として経営していたけど、このままも同じ状態でいいのかな?」
「会社にした方が良いタイミングっていつなの?」
といった疑問を持たれた方がいるのではないでしょうか。
そこで、最後に個人事業主から法人化するべきタイミングについて説明していきます。
ぜひ自分のお店の売上や状況と照らし合わせて考えてみてください。
では見ていきましょう。
利益(所得)が400万円が一つのボーダーライン
個人事業主から法人化するべきタイミングの目安は、利益400万円安定して出せているかどうかです。
利益400万円以上を出していきますと、総合的にみて個人事業主と比べて20万円程度お得になります。
しかし、法人化の費用などを引くと得している金額は少しになりますので、400万円の利益を出した後、長期的に見て今後の利益はどうなっていくか?
ということを考えて法人化すべきかを考えるようにしましょう。
なぜなら、その年は400万円を超えたとしても、次の年から400万円を下回り続けてしまった場合、法人化することによって逆に損になってしまうからです。
利益(所得)が800万円以上の場合は法人化するべき
利益が800万円以上出た場合は、法人化したほうがかなり有利(お得)です。
自分のお店の利益が800万円以上を出していてまだ個人事業主として経営している場合は、すぐにでも法人化の準備をすることをおすすめします。
具体的には利益(所得)が800万円以上ですと、個人事業主と比べた場合約75万円お得になります。
消費税も目安になる
お得になる金額を考える上で、消費税も一緒にして考えことは重要なポイントです。
なぜなら、消費税を含めて考えると金額の差がさらに表れ、より会社のほうがお得になることが明確になるからです。
また消費税は、個人事業主から法人化にするタイミングを考える上でも1つのポイントになります。
個人事業主は、初年度に消費税はかかりませんが、
売上が1000万円を超えるとその2年後に消費税が必要になっていきます。
この制度を利用して、消費税がかかる前のタイミングで法人化することができれば、大きく節税できるのです。
なぜなら、最初に個人事業主としてお店を出すことで、消費税を払わなくて済む期間が2年間増えるからです。
法人化する方法
個人事業主から法人化する方法の大枠の流れは以下のようになっています。
- まずは個人事業の引き継ぎ先である会社(法人)の設立
- 風俗営業許可を法人として再度取得
- 事業用の資産・負債の引き継ぎの手続き
- ドリンクの仕入先などの取引先との契約の名義変更
この中でも2つ目の項目の風俗営業許可は手間のかかる作業になります。
個人で風俗営業許可を取っていたとしても、法人化する場合は法人として再度許可を取る必要があります。
なぜなら、個人としてする営業と、法人として営業するのでは大きく変わるからです。
よって、個人事業主の場合ではなかった要件を満たして許可を得なければいけません。
このように法人化するには手間のかかる作業が必要になります。
しかし、だからと言って400万円以上の売上を安定して取れているのにもかかわらず、法人化しないことはとても損をしてしまいます。
多少面倒な作業かもしれませんが、長期的な経営をするためにも十分な利益のある方は法人化を視野に入れましょう。
まとめ:個人事業主か会社か?キャバクラで法人化するタイミングとは?
いかがでしたでしょうか。
個人事業主か会社か。どちらの方が良いとは一概には言えません。
なぜなら、そのお店の売上の状態によってどちらが適しているのかは変わってくるからです。
特に、個人事業主から会社にする場合はタイミングが重要になります。
もしかしたら、法人化することによって大きな節税につながるかもしれません。
お店の売上と照らし合わせて、お店に合った経営をしましょう。