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本記事をご覧の方は、以下のような不安をお持ちではありませんか?
- 国税局や税務署が事前の連絡なしに税務調査にきたらどうしよう
- 税務調査の予告がきたけど、何を準備すればいいかわからない
水商売(キャバクラ・ホスト・ガールズバー・スナック)を経営しているオーナー様なら、このような不安を一度は抱いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、実際に税務調査の対策を立てたり、税務調査でチェックされる項目を調べるのは難しく、多くの経営者が適切な準備をできないまま調査を迎えてしまいます。
そこで本記事では、水商売の税務調査に関する重要なポイントを徹底解説します。
- 覆面調査の実態と具体的な対策方法
- 税務調査されやすい店舗の特徴
- 税務調査でチェックされやすいポイント
この記事を読んで、水商売への税務調査をしっかり対策し、安心して経営に集中できる環境を整えましょう。
水商売は脱税が多い?不正は税務調査でバレるのか
「水商売は脱税や不正が多い業界だから、自分も不正してもバレないのでは?」「周りも税務調査はなんとか乗り切っているから、上手くやり過ごせれば…」とお考えの方もいるかもしれません。
しかし、結論から言うと、水商売は不正が多い業界だからこそ、脱税はほぼ確実にバレます。つい最近でも、ホステスが2億円脱税したケースが起きています。
水商売での脱税がバレやすい理由は、以下の4つが挙げられます。
- そもそも水商売自体不正が多い業界であるため、重点的にマークされている
- 無申告や多店舗と比べて売上げが少ない場合は、覆面調査などで徹底的に調べられる
- 脱税した資金で貯めた預金や資産から不正計算が発覚する
- 辞めた従業員やキャストなどから国税当局にタレコミされる
特に1つ目は国税庁のデータでも明確に示されており、「バー・クラブ」は不正発見割合の高い業種で10年連続1位となっていました。
なお、令和3年度はコロナ感染症の関係で調査件数が少なく、「不正発見割合の高い業種」に表示されていませんが、国税庁全体の調査件数がコロナ前に戻りつつあり、今後、水商売への税務調査が本格化することが予想されます。
これらから言えることは以下の2点。
- 「脱税が多い業界だから不正しても大丈夫」という考えは禁物
- 「不正が多い業界だからこそマークされやすく、税務調査に入られる可能性も高い」
日頃から税務調査への対策を行うことは勿論、健全に営業する意識を持つよう心掛けることが最も重要です。
水商売オーナーなら知っておきたい!税務調査の基本知識
それでは本題である税務調査の基本知識を詳しく解説していきます。まず税務調査について正しく理解することで、過度な不安を解消し、適切な対策を立てることができます。
税務調査には明確な目的があり、決してランダムに行われるものではありません。また、調査の種類や対象期間についても法的な規定があるため、これらを理解しておくことが重要です。
① 税務調査の目的とは
税務調査の目的は簡潔に言えば、申告所得の正誤を確認し、指導することです。決して経営者を困らせることが目的ではありません。
水商売などの飲食店では、売上げを少なくしたり、ホステスなどから天引きする厚生費等を収入として計上しなかったり、架空の従業員へ給与を支払ったりすることで不正に申告しているケースがあります。
具体的な不正としては、以下が挙げられるでしょう。
- 売上の過少申告や除外
- 架空経費の計上
- 源泉所得税の未納
また、コロナなどの支援金を正しく収入に計上しているかどうかや支援金の使い道が正しいかについても厳しくチェックされることが予想されます。
税務署は「本当に正しく申告され税が納められているか、不正は行われていないか」を確認するために税務調査を行います。
② 税務調査の2つの種類
税務調査といっても以下の2つに分けることができます。どちらも概要は異なりますが、基本的に飲食店に対しては「いつ来るかわからないもの」と認識しておく必要があります。
それぞれの特徴を理解しておくことで、適切な心構えと準備ができるようになります。
強制調査(マルサ)
強制調査とは裁判所の令状を取得した後に、国税査察官(マルサ)が強制的に行う調査のことで、裁判所の令状に基づいて強制的に行われます。
脱税額が1億円を超えて悪質な隠蔽工作が行われると強制調査の対象になり、コロナ前は年間で150件ほど実施されています。一般的な水商売の店舗では、よほど大規模で悪質でない限り強制調査の対象になることは稀です。
任意調査
任意調査は納税者の同意のもとで行われる調査です。「任意」という名前ですが、実際には調査の拒否はできません。
事前通知はあるため日にちの調整はできますが、国税調査官の「質問検査権」に対しては、黙秘権がなく、虚偽の回答は税法によって罰則の対象になります。
任意調査の特徴
- 事前通知がある(日程調整可能)
- 調査拒否は不可
- 質問検査権に対する黙秘権なし
- 虚偽回答は罰則対象
水商売を始めとした飲食店などの現金商売の業種に対しては、事前通知なしの「抜き打ち検査」が認められています。ありのままの事業実態を調査するために行われるもので、拒否権はありません。
③ 税務調査の対象期間
税務調査が行われた際には、過去の申告についても調査され、その期間は基本的には3年間です。
しかし、調査の結果によって対象期間は段階的に延長されます。3年間分の調査で不正が発覚した場合は5年間、さらに、過去5年間でも不正が発覚した場合は過去7年間の調査がされます。
- 基本期間:3年間
- 不正発覚時:5年間
- 重大な不正発覚時:7年間
仮に従業員が売上代金や給与や報酬から天引きしたお金を横領していたとしても、税務調査で不正が明るみに出れば、監督者責任としてお店が高額な税金を支払わなければならないケースも多々あります。
売上、仕入や在庫、給与、報酬などを確実に管理し、健全に営業するのが一番重要です。
税務調査されやすい水商売店舗の6つの特徴
「税務調査はいつ来るかわからないもの」ということがわかりました。
しかし、税務官は税務調査を行うお店を適当に選んでいるわけではありません。税務調査されやすい店舗には明確な特徴があります。
これらの特徴を理解することで、税務調査のリスクを事前に把握し、適切な対策を講じることができます。
① そもそも申告を行っていない
水商売(キャバクラ・ホスト・ガールズバー・スナック)を経営する場合には、ネットでの集客が必須である反面、国税当局にも営業状態を容易に把握できる状況になっています。
また、保健所や警察への届出からも営業の事実は把握可能であるため、申告していないことについて、税務署にバレないということは100%ありません。
- ネット集客による営業実態の把握
- 保健所・警察への届出による営業確認
- 周辺店舗からの情報収集
国税当局は、申告していないお店をかなり悪質だと判断していますが、申告してないからといって、すぐに税務調査が入るわけではありません。
税務調査は過去にさかのぼることができることから、お店の営業が軌道に乗って利益が出るのを待ちながら、悪質な納税者に対する税務調査と位置づけて、無予告での調査着手の準備を虎視眈々と進めているのです。
もし、まだ申告を行っていないのであれば、今すぐ申告することを強くお勧めします。
② 近隣の同規模店舗と比べて売上が異常に少ない
近くの店舗と比較して明らかに売上が低い場合も、税務調査で狙われる可能性が高まります。国税当局は地域別・業種別の売上データを蓄積しており、同規模店舗との比較分析を行っています。
特に同じエリアで同じような規模の店舗が複数ある場合、売上の大きな乖離があると不自然とみなされるでしょう。
立地条件や営業形態が似ているにも関わらず、売上が大幅に異なる場合は詳細な調査対象となる可能性があります。
③ 売上が極端に少なく、数年にわたって赤字が続いている
赤字を装っている場合、もしくは赤字にも関わらずお店が存続している場合は、申告された数字と異なっている部分があると疑われるため税務調査の対象となります。
水商売の店舗は一般的に高い固定費(家賃、人件費など)がかかるため、長期間の赤字経営では存続が困難なはずです。
それにも関わらず営業を継続している場合、隠された収入があるのではないかと疑われることになります。
④ 確定申告の値で異常値がある
売上が極端に低い、もしくは人件費を含めた経費が異様に高いなど、確定申告に際して異常値が見られる場合は、税務調査の対象となります。
異常値として疑われやすいケース
- 売上に対する人件費率が80%を超える
- 同業他社と比較して極端に低い売上高
- 経費率が業界平均を大幅に上回る
- 現金商売なのに売上債権が異常に多い
⑤ 以前の税務調査で不正があった
過去に税務調査で不正が発覚した店舗は、継続的にマークされる傾向があります。
一度不正を行った事業者は再び不正を行う可能性が高いと判断され、定期的な調査対象となることが多いです。
また、同一経営者による他店舗での不正発覚も、関連店舗への調査につながる可能性があります。
⑥ 辞めた従業員からの国税当局へのタレコミ
辞めた従業員やキャストなどから国税当局へタレコミがあるケースも税務調査のきっかけとなります。
特に労働条件や給与支払いに関してトラブルがあった場合、元従業員による通報のリスクが高まります。
- 給与の未払いや不当な天引き
- 源泉徴収票の未発行
- 労働条件に関するトラブル
- 不正な現金管理の目撃情報
従業員との良好な関係を維持し、適切な労務管理を行うことで、このようなリスクを回避することができます。
水商売への税務調査でチェックされやすい4つのポイント
税務調査では税金に関して全てを調べていますが、中でも時間をかけて調べている項目があります。
これらのポイントを事前に理解し、適切な準備をしておくことで、税務調査を円滑に進めることができます。
キャバクラなどの水商売は他の業種と比べて特殊な点が多いため、業界特有のチェックポイントをしっかりと把握しておくことが重要です。
① 売上を低く見積もっていないか
まずチェックされるのが、「売り上げを低く見積もっていないか」という点です。税金は利益に対してかかってきますので、売上が少なければ利益も少なくなり、払う税金も少なくなります。
水商売のお店ではお客さんから代金をもらっていないことにしてしまえば簡単に売上を少なく見積もることが可能です。
そのため、税務官は以下を最も重点的にチェックしています。
- レジ締めと実際の現金残高の照合
- 伝票の保管状況と整合性
- 客数と客単価の妥当性
- 同業他社との売上比較
特に現金商売である水商売では、売上の除外が比較的容易であるため、税務調査官は様々な角度から売上の妥当性を検証します。
レジデータ、伝票、現金出納帳の整合性は必ず確認されます。
② 人件費を水増ししていないか
続いてチェックされるのが、「人件費を水増ししていないか」という点です。利益=売上—経費であるため、経費を多くすれば納税する税金は少なくなる仕組みです。
よって、人件費の水増しがされていたり、架空の人件費が支払われていたりしていないか、税務官はしっかりとチェックしてきます。
実際に働いていない架空の従業員に対する給与支払いは、最も多い不正の手口の一つです。
人件費チェックの具体的な方法
- 従業員の履歴書や雇用契約書の確認
- 出勤簿やタイムカードとの照合
- 給与振込記録の確認
- 源泉徴収簿との整合性確認
スタッフの履歴書を見せるよう要求してくるケースも多いため、履歴書等の証拠はキチンと保管しておきましょう。
③ 在庫管理がしっかりとされているか
3つ目は、在庫管理がしっかりとされているかという点です。
税務官は意図的な伝票の処分を疑って、帳簿と実際の在庫が合致しているか、また仕入れ費と売上のバランスが異常でないかをチェックします。
具体的な品目としては、お酒類、フード、おしぼりなどが挙げられます。
特におしぼりについては、基本的に客数に対応して減っていくため、明らかに異常な誤差があると申告にミスがあるのでは、と疑われるので注意が必要です。
在庫管理台帳を定期的に更新し、実地棚卸を行うことで、税務調査時にスムーズな対応が可能になります。
④ 従業員の源泉所得税の支払いは適切か
最後に、体入や派遣などで働いたキャストの源泉所得税をちゃんと支払っているかも調査されます。
いくら短期間とはいえ、源泉所得税が発生しているため支払っていない場合は脱税行為とみなされます。特に水商売では短期間で働くキャストが多いため、この点は厳しくチェックされるでしょう。
源泉徴収チェックのポイント
- 体入キャストの源泉徴収処理
- 派遣スタッフの源泉徴収状況
- 短期アルバイトの適切な処理
- 源泉徴収簿の記録保持
たとえ1日だけの勤務であっても、給与支払いがあれば源泉徴収の義務が発生することを理解し、適切な処理を行うことが重要です。
【店舗向け】キャバクラの「体入荒らし」とは?注意点と見極め方
【段階別】キャバクラの税務調査の実践的対策
税務調査はやはりされたくないですし、された際の対策もきっちりしておきたいですよね。税務調査対策は、タイミングによって取るべき行動が異なります。
効果的な対策を講じるためには、「日頃からの準備」「調査決定後の対応」「調査後の適切な処理」の3段階に分けて考える必要があります。
すでに税務調査の日程が決まっている方も、今からでも遅くはないので準備を始めてください。
① 日頃からしておくべき対策
そもそも、税務調査は税金をしっかりと納めている人にとっては何も恐れる必要のないことです。したがって、日頃から利益や費用の管理をすることが一番の対策となります。
継続的な記録管理と適切な税務処理を行うことで、税務調査への不安を大幅に軽減することができます。
しっかりと納税する
日頃からしっかり納税しておくのは、一番大事なことです。利益がでているにもかかわらず、税金を納めていない場合はその分の税金だけでなく罰金を取られる可能性が高いです。
ここで注意しておきたいのは、赤字でも支払う税金についてです。以下の2つは売上に関わらず、納税の義務があります。
- 消費税:2年前の課税売上高が1000万円を超える場合
- 源泉徴収税:給与・報酬支払い時に必ず発生
個人事業主の場合は、「2年前の課税売上高が1000万円を超える」場合に限り、免税事業者として消費税の申告は不要になりますが、それ以外は必ず納税が必要です。
売上と利益の管理をしっかりとしておく
次に大事なことが売上の管理です。これは納める税金を正しく計算するためだけでなく、調査官がきた時の証拠となります。紙で管理している場合は整理しておきましょう。
また、POSシステムのTRUSTを活用すれば利益を簡単に管理することができ、クラウドでデータが保存されるため税務調査時の資料提出もスムーズに行えます。
領収書や伝票はまとめて保管しておく
費用として計算できるよう、領収書はまとめておくと税務官がきた時にスムーズに対応できます。さらに、証拠にもなるので確実に保管しておきましょう。
特に水商売では現金取引が多いため、すべての取引について適切な証憑を残しておくことが重要です。レシートや領収書だけでなく、出金伝票や現金出納帳の記録も整備しておく必要があります。
② 税務調査が決まってからの対策
次に税務官がくることが決まってからの対応です。税務調査は基本的に事前に連絡がきてから行われるため、多少の準備時間があります。
この期間を有効活用して、必要書類の準備と社内体制の整備を行うことで、調査を円滑に進めることができます。慌てずに段階的に準備を進めることが重要です。
税理士がいる場合は顧問税理士に相談する
税務調査の連絡が来たらまずは顧問税理士に連絡をしましょう。今後の流れや対策を細かく教えてくれると思います。
しかし、その顧問税理士が水商売に強くない場合は注意も必要です。その税理士がどれだけ水商売の税務調査に詳しいかを確認しながら対策していってください。
- 水商売特有の論点への理解度
- 過去の水商売税務調査の経験
- 業界特有の会計処理への知識
- 調査当日の立会い可能性
必要書類を事前に準備する
税務調査のときに必要な書類は多岐にわたります。これらの書類は当日準備するのが難しい場合もあるため、事前に準備すると当日スムーズに税務調査が進みます。
税務調査で必要な主な書類
- 申告書(過去3〜7年分)
- 総勘定元帳
- 預金通帳(事業用・個人用)
- 給与関係書類(給与台帳、源泉徴収簿)
- 請求書・領収書
- 契約書(賃貸借、雇用契約等)
- 会計伝票・レジデータ
- 在庫管理台帳
さらに、税務官からの印象も良くなり、協力的な姿勢をアピールできます。
間違いを見つけたら先に申告しておく
準備している段階で間違いを見つけたら先に申告しておきましょう。それにより罰則が少なくなる可能性があります。
隠そうとせずに、小さなミスでも発見したら先に申告をすることで、税務調査官に対して誠実な姿勢を示すことができ、結果的に有利に働くことが多いです。
無申告の場合は先に申告書を出す
さらに無申告の場合は一刻も早く申告書を出してください。税務調査がはいったら、必ず支払うことになります。
ミスを申告するときと同じく、自分から自己申告をすることで払う税金が少なくなります。無申告加算税や重加算税の軽減措置を受けられる可能性があります。
協力的かつ冷静に対応する
そして、これは当日に気をつけるべきことですが税務官にはなるべく協力してあげましょう。
変に隠すのではなく協力することで税務調査を円滑に行うことができます。また、黙秘や虚偽の回答は、罰則の対象になりますので、申告に漏れがある場合もしっかりと回答しましょう。
キャバクラ向けの税理士事務所10選!オーナー向けに選び方を解説
③ 税務調査後の対応
ちょっとしたミスは誰でもあることです。特に初めての税務調査で最初から完璧に納めている水商売のお店は少ないかもしれません。
したがって、申告が正しくないと指摘されたら、それを修正して正しい税金を納めればいいだけです。重要なのは、指摘された内容に対して適切に対応することです。
- 修正申告:指摘内容に不服がない場合の自主的な修正
- 更正の請求:納めすぎた税金がある場合の還付請求
- 更正処分:税務署による強制的な税額決定
一方、特に修正が必要ない場合は、税務署から「申告是認」の連絡があります。
修正申告
修正申告とは指摘された内容に対して、特に不服がない場合に自ら差額を納める申告です。
修正申告は納税した税金が足りなかった場合に行われる申告で、修正申告を出した場合には指摘に対して、一切の不服がないと判断されます。そのため、その後多く払ってしまったと思っても払いすぎた分を取り戻すことはできません。しっかりと確認してから納めてください。
更正の請求を行う
更正の請求とは、申告していない経費の領収書が発見された、売上が過剰に計上されていた、このような状況、つまり実際よりも多く税金を支払っていた場合に行うことができるものです。
多く払っていた税金を返してもらえる可能性があります。ただし、請求には期限があるため、早めの対応が必要です。
更正処分を受ける
オーナーなどの納税者が税務署の指摘事項に納得できず、修正申告を行わない場合、税務署は更正処分を行い、「更正処分書」を送付します。
更正とは税務署等がその法人または個人の税額を決める手続きのことをいいます。修正申告では自らが非を認めて修正していたため、その後の訂正はできませんでしたが、更正の場合は不服であれば異議申し立てが可能です。
とはいえ、税務官とは信頼関係が大事になってきますので、明らかにこちら側に非がある場合は素直に修正申告を行ったほうがいいでしょう。
水商売は注意!税務調査の覆面調査とは
水商売のオーナー様(キャバクラ・ホスト・スナック・ガールズバー)は、「覆面調査」にも注意するようにしましょう。
というのも、税務調査とは基本的に事前に連絡がくる任意調査で行われますが、調査上必要な場合は事前に連絡をせず調査してもいいことになっているからです。
覆面調査の実態
覆面調査とは、税務官が身分を明かさずにお店に客として入店することです。これはお店が不正を行っていないかを調査することが目的です。
特に水商売などの飲食店では、客に紛れてお店に来て、以下の項目をチェックしていると言われています。
- お客さんの入り具合(客数の把握)
- 席数(店舗規模の確認)
- 店の大きさ(営業規模の把握)
- 誰が売上を管理しているか(責任者の特定)
- 料金システムと実際の請求額
- レシートの発行状況
これらをもとに売上や経費を計算し、申告された金額と比較します。そこで数字が明らかに怪しい場合は税務調査の対象になるので、注意が必要です。
場合によっては、次の日にお店に来て、昨日の伝票を見せてくれと言われるケースもあるようです。税務官がレシートを持参して税務調査を行うこともあります。
覆面調査の対策
覆面調査の対策は、ズバリ「日頃から会計伝票を保管しておくこと」です。覆面調査の目的は、申告された売上と実際の売上が合致しているかを確認することです。
そのため、伝票が保管されていないと意図的に伝票を捨てて売上を低く申告している、とみなされてしまいます。
覆面調査対策のポイント
- すべての伝票を適切に保管する
- 領収書発行時の伝票は特に厳重に管理
- レジデータと伝票の整合性を保つ
- 現金管理を透明化する
よって覆面調査に備えるという意味でも、普段から伝票や領収書の管理をしておくことが大切になります。
特に領収書を発行したお客さんの伝票はお店に何日か保管しておくようにしましょう。
POSシステムで税務調査の対策をしよう
前述しましたが、税務署は「申告された売上と実際の売上が合致しているか」を確認します。税務調査では過去の売上データを要求されますが、その際に必要なのは、過去3年間の売上データです。
そこで用意しておきたいのが、「POSシステム」です。POSシステムは、売上や給与などのデータをクラウドに保存しています。そのため、導入さえしていれば税務調査が来たとしても完璧に対応することができます。
- 売上データの自動記録・保存
- クラウドによる長期間のデータ保持
- 改ざん防止機能による信頼性確保
- 詳細な取引履歴の管理
キャバクラ向けPOSシステムの「TRUST」は、データのクラウド保存はもちろんのこと、面倒なレジ締めや日報計算、給与計算をデータ入力だけで済ませることができます。
TRUSTについて詳しく知りたい人は資料を無料でダウンロードすることができますので、チェックしてみてください。
水商売の税務調査に関するよくある質問(Q&A)
最後に、水商売の税務調査に関するよくある質問をご紹介します。
Q1. 税務調査の連絡が来たら、どのくらい準備期間がありますか?
A. 一般的には連絡から調査実施まで2週間〜1ヶ月程度の準備期間があります。
ただし、水商売などの現金商売では「抜き打ち調査」も認められているため、事前連絡なしで調査が行われる場合もあります。日頃から帳簿や領収書を整理し、いつ調査が来ても対応できる体制を整えておくことが重要です。
Q2. 覆面調査で税務官が来店した場合、見分ける方法はありますか?
A. 覆面調査の税務官を確実に見分ける方法はありません。
税務官は通常の客として振る舞い、料金システムや店内の様子を観察します。重要なのは、すべての客に対して適切な接客と正確な会計処理を行うことです。特に領収書の発行やレシートの管理は確実に行い、後日の確認に備えておきましょう。
Q3. 体入や短期アルバイトの源泉徴収はどの程度厳しくチェックされますか?
A. 体入や短期アルバイトであっても、給与支払いがあれば源泉徴収義務が発生し、非常に厳しくチェックされます。
1日だけの勤務でも源泉徴収が必要で、未処理の場合は脱税行為とみなされます。体入キャストや派遣スタッフについても、必ず源泉徴収簿に記録し、適切な税務処理を行うことが必要です。
Q4. 過去に申告していない期間がある場合、どう対応すべきでしょうか?
A. 無申告期間がある場合は、税務調査の連絡前に自主申告することを強く推奨します。
税務調査後に発覚するより、自主申告の方が無申告加算税や重加算税が軽減される可能性があります。無申告が長期間続いている場合、税務署は営業が軌道に乗るのを待って調査に入ることが多いため、早急な対応が必要です。
Q5. 税務調査で修正申告を求められた場合、必ず応じなければなりませんか?
A. 修正申告は任意ですが、明らかな誤りがある場合は素直に応じることをおすすめします。
修正申告に応じない場合、税務署は「更正処分」を行い、より重いペナルティが課される可能性があります。ただし、修正申告をすると後から不服を申し立てることができなくなるため、内容をしっかり確認してから判断することが重要です。
まとめ
税務調査と聞くとなにをされるのか、と身構える方も多いかと思います。しかし、今回紹介してきたように、税務調査の目的は申告の正誤を確認し、指導することです。
ですので、しっかり税金を納めていればなにも心配することはありませんし、申告漏れがあってもきっちり修正すれば適切に対応できます。
決して恐れるものではありません。
日頃からの適切な管理で安心経営を実現しましょう。
最も重要なのは、税務調査を恐れるのではなく、健全な経営を心がけることです。
適切な税務処理と透明性の高い経営により、お客様からも従業員からも信頼される店舗運営を目指しましょう。