目次
水商売(キャバクラ・ホスト・ガールズバー・スナック)を経営しているオーナー様の中には、
「国税局や税務署が事前の連絡なしに突然大勢で税務調査にきたときはどうしたらいいの!」
「税務調査の予告がきたけどどうしよう!」
「周りのお店が税務調査されてるけど、うちのお店は大丈夫かな?」
「コロナが落ち着いてきたから、そろそろ、うちのお店にも税務調査がくるかもしれない?!」
このような不安を抱く方もいるのではないでしょうか?
しかし、実際に税務調査の対策を立てたり、税務調査でチェックされる項目を調べるのは難しいです。
そこで今回の記事では、税務調査に関する、以下5つのポイントを紹介していきます。
- 税務調査の基本知識
- 覆面調査の実態と対策
- 税務調査されやすい店舗の特徴
- 税務調査でチェックされやすいポイント
- 税務調査の対策
この記事を読んで、水商売への税務調査をしっかり対策し、乗り切りましょう!
水商売は脱税が多い?不正は税務調査でバレる?
そもそもの話として、
「水商売は脱税や不正が多い業界だから、自分も不正してもバレないのでは?」
「周りも税務調査はなんとか乗り切っているから、上手くやり過ごせれば…」
とお考えの方もいるかもしれません。
しかし、結論から言うと、水商売は不正が多い業界だからこそ、脱税はほぼ確実にバレます。
つい最近でも、ホステスが2億円脱税したケースが起きています。
理由としては、以下4つが挙げられます。
- そもそも水商売自体不正が多い業界であるため
- 無申告や多店舗と比べて売上げが少ない場合は、覆面調査などで徹底的に調べるため
- 脱税した資金で貯めた預金や資産から不正計算が発覚するため
- 辞めた従業員やキャストなどから国税当局にタレコミされるため
特に1つ目は国税庁のデータでも示されており、「バー・クラブ」は不正発見割合の高い業種で10年連続1位となっていました。
なお、令和3年度はコロナ感染症の関係で調査件数が少なく、「不正発見割合の高い業種」に表示されていませんが、国税庁全体の調査件数がコロナ前に戻りつつあり、今後、水商売への税務調査が本格化することが予想されます。
これらから言えることは、以下の2つ。
・「脱税が多い業界だから不正しても大丈夫という考えは禁物である」
・「不正が多い業界だからこそマークされやすく、税務調査に入られる可能性も高い」
日頃から税務調査への対策を行うことは勿論、健全に営業する意識を持つよう心掛けましょう。
水商売オーナーなら知っておきたい!税務調査の基本知識
それでは本題である税務調査の基本知識を解説していきます。
- 税務調査の目的は?
- 税務調査には2つの種類がある
- 税務調査の対象となる期間は?
まずは税務調査の基本的な概要を押さえておきましょう。
①税務調査の目的は?
税務調査の目的は簡潔に言えば、申告所得の正誤を確認し、指導することです。
水商売などの飲食店では、売上げを少なくしたり、ホステスなどから天引きする厚生費等を収入として計上しなかったり、架空の従業員へ給与を支払ったりすることで不正に申告しているケースがあります。
また、コロナなどの支援金を正しく収入に計上しているかどうかや支援金の使い道が正しいかについても厳しくチェックされることが予想されます。
税務署は「本当に正しく申告され税が納められているか、不正は行われていないか」を確認するために税務調査を行います。
②税務調査は2つに分けられる
税務調査といっても以下の2つに分けることができます。
- 強制調査
- 任意調査
どちらも概要は異なりますが、基本的に飲食店に対しては「いつ来るかわからないもの」と認識しておくといいです。
それぞれ見ていきましょう。
強制調査
強制調査とは裁判所の令状を取得した後に、国税査察官(マルサ)が強制的に行う調査のことで、裁判所の令状に基づいて強制的に行われます。
脱税額が1億円を超えて悪質な隠蔽工作が行われると強制調査の対象になり、コロナ前は年間で150件ほど実施されています。
任意調査
任意調査は納税者の同意のもとで行われる調査です。
事前通知はあるため日にちの調整はできますが、調査の拒否はできません。
また、国税調査官の「質問検査権」に対しては、黙秘権がなく、虚偽の回答は税法によって罰則の対象になります。
水商売を始めとした飲食店などの現金商売の業種に対しては、事前通知なしの「抜き打ち検査」が認められています。
ありのままの事業実態を調査するために行われるもので、拒否権はありません。
③税務調査の対象となる期間は?
税務調査が行われた際には、過去の申告についても調査され、その期間は基本的には3年間です。
しかし、3年間分の調査で不正が発覚した場合は5年間、さらに、過去5年間でも不正が発覚
した場合は過去7年間の調査がされます。
仮に従業員が売上代金や給与や報酬から天引きしたお金を横領していたとしても、税務調査で不正が明るみに出れば、監督者責任としてお店が高額な税金を支払わなければならないケースも多々あるため、売上、仕入や在庫、給与、報酬などを確実に管理し、健全に営業するのが一番だということです。
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税務調査されやすい水商売の店舗の特徴
税務調査について、
「税務調査はいつ来るかわからないもの」
といったことがわかりました。
そうなると、以下のような不安を抱く方もいるのではないでしょうか?
「来週突然税務調査が来る可能性もあるってこと?」
「何も準備できていないときに来られるのは困る」
しかし、税務官は税務調査を行うお店を適当に選んでいるわけではありません。
税務調査されやすい店舗には、以下のような4つの特徴があるのです。
- ①そもそも申告を行っていない
- ②近隣の同規模の店舗と比べて売上が少ない
- ③売上げに対する人件費の割合が極端に高いなど、申告の値で異常値がある
- ④以前の税務調査で不正があった
- ⑤辞めた従業員などから国税当局へタレコミがある
- ⑥代表者や従業員の預金や資産が大きく増えている
逆に言えばこれらに気を付けていれば、税務調査をされるリスクを減らせるということなので、ぜひ意識してみてください。
①そもそも申告を行っていない
水商売(キャバクラ・ホスト・ガールズバー・スナック)を経営する場合には、ネットでの集客が必須である反面、国税当局にも営業状態を容易に把握できる状況になっています。
また、保険所や警察への届出からも営業の事実は把握可能であるため、申告していないことについて、税務署にバレないということは100%ありません。
国税当局は、申告していないお店をかなり悪質だと判断していますが、申告してないからといって、すぐに税務調査が入るわけではありません。税務調査は過去にさかのぼることができることから、お店の営業が軌道に乗って利益が出るのを待ちながら、悪質な納税者に対する税務調査と位置づけて、無予告での調査着手の準備を虎視眈々と進めているのです。
もし、まだ申告を行っていないのであれば、今すぐ、申告することをお勧めします。
②近隣の同規模の店舗と比べて売上が少ない
近くの店舗と比較して明らかに売上が低い場合も税務調査で狙われる可能性が高まります。
③売上が極端に少なく、数年にわたって赤字が続いている
先にも書いたように、赤字を装っている場合、もしくは赤字にも関わらずお店が存続している場合は、申告された数字と異なっている部分がある、と疑われるため税務調査の対象となります。
④確定申告の値で異常値がある
売上が極端に低い、もしくは人件費を含めた経費が異様に高いなど、確定申告に際して異常値が見られる場合は、税務調査の対象となります。
水商売への税務調査でチェックされやすいポイント
税務調査では税金に関して全てを調べていますが、中でも時間をかけて調べている項目を説明していきます。
- ①売上を低く見積もっていないか
- ②人件費を水増ししていないか
- ③在庫はしっかり管理されているか
- ④従業員の源泉所得税の支払いはされているか
キャバクラなどの水商売は他の業種と比べて特殊な点が多いため、しっかりと対策をしておくのがオススメです。
①売上を低く見積もっていないか
まずチェックされるのが、「売り上げを低く見積もっていないか」という点。
税金は利益に対してかかってきますので、売上が少なければ利益も少なくなり、払う税金も少なくなります。
さらに、水商売のお店ではお客さんから代金をもらっていないことにしてしまえば簡単に売上を少なく見積もることが可能です。
売上を不正に計算している店舗も多いため、税務官はここをしっかりチェックしています。
②人件費を水増ししていないか
続いてチェックされるのが、「人件費を水増ししていないか」という点。
利益=売上—経費であるため、経費を多くすれば納税する税金は少なくなる仕組みです。
よって、人件費の水増しがされていたり、や架空の人件費が支払われていたりしていないか、税務官はしっかりとチェックしてきます。
スタッフの履歴書を見せるよう要求してくるケースもあるため、履歴書等の証拠はキチンと保管しておきましょう。
③在庫はしっかり管理されているか
3つ目は、在庫管理がしっかりとされているか。
税務官は意図的な伝票の処分を疑って、帳簿と実際の在庫が合致しているか、また仕入れ費と売上のバランスが異なっていないかをチェックします。
具体的な品目としては、フードやおしぼりなどが挙げられます。
基本的に客数に対応しておしぼりは減っていきますが、明らかに異常な誤差があると申告に
ミスがあるのでは、と疑われるので注意しましょう。
④従業員の源泉所得税の支払いはされているか
最後に、体入や派遣などで働いたキャストの源泉所得税をちゃんと支払っているかも調査されます。
いくら短期間とはいえ、源泉所得税が発生しているため支払っていない場合は脱税行為とみなされます。
水商売への税務調査での対策
税務調査はやはりされたくないですし、された際の対策もきっちりしておきたいですよね。
そこで紹介するのが、以下3つの対策方法。
- ①日頃からしておくべき対策
- ②税務調査が決まってからの対策
- ③税務調査後の対応
すでに税務調査の日程が決まっている方は、今からでも遅くはないので準備を始めてください。
①日頃からしておくべき対策
そもそも、税務調査は税金をしっかりと納めている人にとっては何も恐れる必要のないことです。
したがって、日頃から利益や費用の管理をすることが一番の対策となります。
しっかりと納税する
日頃からしっかり納税しておくのは、一番大事なことです。
利益がでているにもかかわらず、税金を納めていない場合はその分の税金だけでなく罰金を取られる可能性が高いです。
まずはしっかりと納税をしましょう。
ここで注意しておきたいのは、赤字でも支払う税金についてです。
- 消費税
- 源泉徴収税
以上の2つは売上に関わらず、納税の義務があります。
個人事業主の場合は、「2年前の課税売上高が1000万円を超える」場合に限り、免税事業者として消費税の申告は不要になります。
利益の管理をしっかりとしておく
次に大事なことが売上の管理です。
これは納める税金を正しく計算するためだけでなく、調査官がきた時の証拠となります。紙で管理している場合は整理しておきましょう。
また、POSシステムのTRUSTを活用すれば利益を簡単に管理することができます。
領収書などはまとめておく
費用として計算できるよう、領収書はまとめておくと税務官がきた時にスムーズに対応できます。
さらに、証拠にもなるので確実に保管しておきましょう。
②税務調査が決まってからの対策
次に税務官がくることが決まってからの対応です。
税務調査は基本的に事前に連絡がきてから行われるため、多少の準備時間があります。
必要書類を準備しておきましょう。
税理士がいる場合は顧問税理士に相談する
税務調査の連絡が来たらまずは顧問税理士に連絡をしましょう。
今後の流れや対策を細かく教えてくれると思います。
しかし、その顧問弁護士が水商売に強くない場合は注意も必要です。
その税理士がどれだけ水商売の税務調査に詳しいかを確認しながら対策していってくださ
い。
必要書類一覧
税務調査のときに必要な書類は以下の通りです。
- 申告書
- 総勘定元帳
- 通帳
- 給与関係書類
- 請求書
- 領収書
- 契約書
- 議事録
これらの書類は当日準備するのが難しい場合もあるため、事前に準備すると当日スムーズに税務調査が進みます。
さらに、税務官からの印象も良くなります。
間違いを見つけたら先に申告しておく
準備している段階で間違いを見つけたら先に申告しておきましょう。
それにより罰則が少なくなる可能性があります。
隠そうとせずに、小さなミスでも発見したら先に申告をしましょう。
無申告の場合は先に申告書を出す
さらに無申告の場合は一刻も早く申告書を出してください。
税務調査がはいったら、必ず支払うことになります。
ミスを申告するときと同じく、自分から自己申告をすることで払う税金が少なくなります。
協力的かつ冷静に対応する
そして、これは当日に気をつけるべきことですが税務官にはなるべく協力してあげましょう。
変に隠すのではなく協力することで税務調査を円滑に行うことができます。
また、黙秘や虚偽の回答は、罰則の対象になりますので、申告に漏れがある場合もしっかりと回答しましょう。
③税務調査後の対応
ちょっとしたミスは誰でもあることです。
特に初めての税務調査で最初から完璧に納めている水商売のお店は少ないかもしれません。
したがって、申告が正しくないと指摘されたら、それを修正して正しい税金を納めればいいだけです。
税務調査後の対応として以下の3つがあります。
- 修正申告
- 更正の請求
- 更正
一方、特に修正が必要ない場合は、税務署から連絡があります。
修正申告
修正申告とは指摘された内容に対して、特に不服がない場合に自ら差額を納める申告です。
また、修正申告は納税した税金が足りなかった場合に行われる申告です。
そして、修正申告を出した場合には指摘に対して、一切の不服がないと判断されます。
そのため、その後多く払ってしまったと思っても払いすぎた分を取り戻すことはできませ
ん。
しっかりと確認してから納めてください。
更正の請求を行う
更正の請求とは、
- 申告していない経費の領収書が発見された
- 売上が過剰に計上されていた
このような状況、つまり実際よりも多く税金を支払っていた場合に行うことができるものです。
多く払っていた税金を返してもらえる可能性があります。
更正処分を受ける
オーナーなどの納税者が税務署の指摘事項に納得できず、修正申告を行わない場合、税務署は更正処分を行い、「更正処分書」を送付します。
更正とは税務署等がその法人または個人の税額を決める手続きのことをいいます。
修正申告では自らが非を認めて修正していたため、その後の訂正はできませんでしたが、更正の場合は不服であれば異議申し立てが可能です。
とはいえ、税務官とは信頼関係が大事になってきますので、明らかにこちら側に非がある場合は素直に修正申告を行ったほうがいいでしょう。
水商売(キャバクラ・ホスト・スナック・ガールズバー)は注意!税務調査の覆面調査とは
水商売のオーナー様(キャバクラ・ホスト・スナック・ガールズバー)は、「覆面調査」にも注意するようにしましょう。
というのも、税務調査とは基本的に事前に連絡がくる任意調査で行われますが、調査上必要な場合は事前に連絡をせず調査してもいいことになっているからです。
特に水商売などの飲食店では、客に紛れてお店に来て、
・お客さんの入り具合
・席数
・店の大きさ
・誰が売上を管理しているか
などをチェックしていると言われています。
場合によっては、次の日にお店に来て、昨日の伝票を見せてくれと言われるケースもあるようです。
よって、覆面調査に備えるという意味でも、普段から伝票や領収書の管理をしておくことが大切になります。
覆面調査の実態
覆面調査とは、税務官が身分を明かさずにお店に客として入店することです。
これはお店が不正を行っていないかを調査することが目的で、客の入り具合や客単価、誰が売上を管理しているかをチェックし、それらをもとに売上や経費を計算し、申告された金額と比較します。
そこで数字が明らかに怪しい場合は税務調査の対象になるので、注意が必要です。
覆面調査の対策
覆面調査の対策は、ズバリ「日頃から会計伝票を保管しておくこと」。
覆面調査の目的は、申告された売上と実際の売上が合致しているかを確認することです。
そのため、伝票が保管されていないと意図的に伝票を捨てて売上を低く申告している、とみなされてしまいます。
税務官がレシートを持参して税務調査を行うこともありますので、会計伝票を保管しておくこと、特に領収書を発行したお客さんの伝票はお店に何日か保管しておくようにしましょう。
POSシステムで税務調査の対策をしよう
前述しましたが、税務署は「申告された売上と実際の売上が合致しているか」を確認します。
税務調査では過去の売上データを要求されますが、その際に必要なのは、過去3年間の売上です。
そこで用意しておきたいのが、「POSシステム」。
POSシステムは、売上や給与などのデータをクラウドに保存しています。
そのため、導入さえしていれば税務調査が来たとしても完璧に対応することができます。
キャバクラ向けPOSシステムの「TRUST」は、データのクラウド保存はもちろんのこと、面倒なレジ締めや日報計算、給与計算をデータ入力だけで済ませることができます。
TRUSTについて詳しく知りたい人は資料を無料でダウンロードすることができます。
スマホの人も観覧することができます。
キャバクラ・ホスト・スナック・ガールズバーでは、対策をしっかりして税務調査を乗り切ろう
税務調査と聞くとなにをされるのか、と身構える方も多いかと思います。
しかし、今回紹介してきたように、税務調査の目的は申告の正誤を確認し、指導することです。
ですので、しっかり税金を納めていればなにも心配することはありませんし、申告漏れがあってもきっちり修正すれば罰則を受けることはありません。
そのことを理解した上で、会計伝票や領収書の保管、売上データの蓄積などの対策をしっかりすれば安心して税務調査を乗り切りましょう。