目次
これから水商売を始めようと考えている水商売経営者の皆様、以下のような悩みをお持ちではありませんか?
- 「風営法の『接待』とは具体的に何を指すの?」
- 「風俗営業許可は取得したほうがいいのか?」
- 「接待に該当する行為と該当しない行為の境界線がわからない」
これから水商売を始めようと思うオーナーにとって、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律における「接待」の定義は非常に重要です。
適切な営業許可を取得せずに接待行為を行った場合、重い罰則が科される可能性があります。
そこで本記事では、以下の内容について詳しく解説していきます。
- 風営法における「接待」の定義
- 接待を行うために必要な風俗営業許可
- 水商売の接待に関する注意点
必要な営業許可と風営法の接待の基準を正しく理解して、安全で確実な店舗運営を行いましょう。
風営法における「接待」の定義とは?
結論から申し上げますと、風営法条例では接待は以下のように定義されています。
接待
歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと。この意味は、営業者、従業者等との会話やサービス等慰安や歓楽を期待して来店する客に対して、その気持ちに応えるため営業者側の積極的な行為として相手を特定して興趣を添える会話やサービス等を行うことをいう。言い換えれば、特定の客又は客のグループに対して単なる飲食行為に通常伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うことである。
とはいうものの、この定義だけでは正確に理解するのは難しいですよね。
そこで参考になるのが、警察庁が発表している風営法の解釈運用基準が接待をより詳しく定義づけた内容です。
風営法における「接待」は以下の6種類と考えておくといいでしょう。
- 談笑、お酌
- ショー
- 歌唱
- ダンス
- 遊戯
- その他サービス
これらはいずれも「接待行為」となり、風俗営業許可がない場合は違法営業となってしまうケースがあります。
それぞれの接待行為について詳しく見ていきましょう。
①談笑・お酌
1点目は、「談笑・お酌」などです。
特定少数の客の近くにはべり、継続して談笑の相手になったり、酒等の飲食物を提供したりする行為
お客と仲良く談笑し続けたり、継続してお酒等をお酌し続けたりすると風営法の接待となってしまいます。
一方で、お酌をしたり、水割りを作るが速やかにその場を立ち去る行為や、客の後方で待機したり、カウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供し、その際に世間話をしたりする行為ならば接待には当たりません。
特定の客と談笑し続けたり、お酌をしたりする行為には注意してください。
②ショー
2点目は、「ショー」です。
特定少数の客に、その客に供している客室においてショー・歌舞音曲等を見せ、聴かせる行為
こちらはキャバクラ等の業態でなければそうそうショーは行わないかと思いますが、「客にショーや歌等の見せ物をするのは接待になる」と覚えておきましょう。
なお、ホテルのディナーショーのように不特定多数の客に対し、同時に、ショー・歌舞音曲等を見せたり聴かせたりする行為は接待には当たりません。
③歌唱
3点目は「歌唱」です。
特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、その客の歌に手拍子をとり褒めはやす行為、もしくは客と一緒に歌う行為
スナックやガールズバーだとカラオケを設置してある店舗もあるかと思いますが、一緒に歌ったり手拍子を入れる場合は
「接待」となります。
一方で、以下に該当する場合は接待にはなりません。
- 客の近くに位置せず、不特定の客に対し歌うことを勧奨する
- 不特定の客の歌に対し拍手をし、もしくは褒めはやす
- 不特定の客からカラオケの準備の依頼を受ける行為、もしくは歌の伴奏のため楽器を演奏する行為
この辺は線引きが難しいところでもあるので、風俗営業許可がない場合はカラオケに際してスタッフへの教育等も徹底しましょう。
- キャバクラ向けのカラオケ機器は?キャストへの教育方法やおすすめ曲も
- ガールズバーのカラオケは違法?お店側が知っておくべきポイント
- スナックにカラオケを導入する際のポイント!注意点や定番曲も解説
- 水商売でカラオケリースを導入するメリットは?費用と注意点を紹介
④ダンス
4点目は「ダンス」です。
特定の客の相手となって身体に接触し、客にダンスをさせる行為
こちらは「身体が接触していなければいい」というわけではなく、客に対しダンスを披露するだけでも接待となるケースもあります。
「うちはダンスを披露したりはしないしな」というオーナーも多いとは思いますが、念のため注意してください。
⑤遊戯
5点目は「遊戯」です。
客と共に遊戯、ゲーム、競技等を行う行為
客「と」遊戯を行う場合は接待となってしまうので注意しましょう。
警察庁によると客一人、もしくは客同士で、遊戯・ゲーム・競技等を行わせる行為は、直接的に接待に当たらないとされています。
⑥その他サービス
6点目は「その他サービス」です。
客と身体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為、もしくは客の口許まで飲食物を差出し、客に飲食させる行為
客に「あ〜ん」をしたり、身体を密着させて接客する行為は接待となります。
このことからキャバクラは基本的に接待にあたることがわかるでしょう。
なお、社交儀礼上の握手や酔客の介抱のために必要な限度で接触する行為や、単に飲食物をテーブルに運ぶだけの行為は接待には当たりません。
とはいえ、風俗営業許可がない場合は、客にせがまれても上記のようなサービスは避けるようにしましょう。
水商売で接待を行うためには「風俗営業許可」が必要
ここまで風営法における接待の定義を紹介してきました。
もしここまで紹介してきた「接待」を含む営業・接客を行いたい場合は、「風俗営業許可」が必要となります。
風俗営業許可を取得すれば接待を行ってもOKです。
ただし注意点として、風俗営業許可は「深夜酒類提供飲食店営業許可」と併用して取得することはできません。
つまり、以下の通りです。
- 風俗営業許可を取得した場合:接待を行えるが、深夜0時以降は営業できない
- 深夜酒類提供飲食店営業許可を取得した場合:深夜0時以降も営業できるが、接待は行えない
要するに、「深夜0時以降の営業をするが接待はできない」か「接待はできるが深夜0時以降は営業できない」か、どちらの営業スタイルにするか選ぶ必要があります。
許可なしに接待を行った場合の罰則
なお、もし風俗営業許可なしに接待を行った場合、無許可営業により以下の罰則が科される恐れがあります。
2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、又はこれの併科
実際に風営法違反で摘発される事例も発生しています。
また、深夜酒類提供飲食店営業許可なしに深夜0時以降営業した場合は、以下の罰則が科される恐れがあります。
50万円以下の罰金
違法営業はいつか発覚してしまいますので、必ずどちらの営業スタイルにするか決定し、ルールを守って営業することが求められます。
水商売の「接待」に関する3つの注意点
最後に、水商売の接待に関しての注意点を3つ解説していきます。
- 「未成年」周りも注意する
- スタッフへの教育を徹底する
- 規制は厳しくなっている
それぞれ覚えておき、ぜひ健全な営業に役立ててください。
①「未成年」周りも注意する
今回は風営法の接待について取り上げましたが、水商売で違法営業にならないためには「未成年」関連の法律も遵守する必要があります。
具体的には、以下2つです。
- 未成年を水商売で働かせない
- 未成年を客としていれ、酒を提供しない
前者は労働基準法や児童福祉法など複数の法律に、後者は未成年者飲酒禁止法に違反することとなります。
それぞれ罰金だけでなく逮捕まで繋がる可能性もありますので、スタッフや客の年齢確認もしっかり行うようにしましょう。
②スタッフへの教育を徹底する
もしオーナーが気をつけていたとしても、現場のスタッフが規則を破っていれば、処罰を受けるのは店舗・オーナーです。
よって、もし風俗営業許可を取得していない場合は、「接待」にあたる接客をしないよう、スタッフをしっかり教育するようにしましょう。
違法営業となった際のペナルティの重さを考えると、マニュアルなどを作成してもいいと思います。
特にカラオケ周りは接待が起こりやすいので、注意が必要です。
③規制は厳しくなっている
風営法や接待に関して、中には以下のようにお考えの方もいるかと思います。
- 「風俗営業許可なしでも大丈夫でしょ」
- 「少し違反したところでバレないでしょ」
確かに、一昔前まではそうそう摘発はされないイメージはありました。
しかし規制はどんどん厳しくなっていますので、ルールを守って営業したほうが絶対に得策です。
もし摘発された場合、先ほど紹介したように以下のようなペナルティが与えられます。
- 風俗営業許可なしに接待を行った場合:2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、又はこれの併科
- 深夜酒類提供飲食店営業許可なしに深夜営業を行った場合:50万円以下の罰金
違法営業の摘発例は増えてきています。
警察が力を入れてきているのは明白ですので、風営法違反にならないよう、より一層注意して開業準備を行いましょう。
風営法の接待に関するよくある質問
最後に、風営法の接待に関してよく寄せられる質問とその回答をご紹介します。
①風俗営業許可と深夜酒類提供飲食店営業許可はどちらを選ぶべき?
店舗のコンセプトと営業時間帯によって判断します。
接客重視で客との距離を近くしたいなら風俗営業許可、深夜営業を重視するなら深夜酒類提供飲食店営業許可を選択してください。
どちらも一長一短があるため、ターゲット層とビジネスモデルを明確にしてから決定することが重要です。
②カウンター越しでの接客は接待に当たりますか?
カウンター越しで単に注文に応じて酒類等を提供し、その際に世間話をする程度であれば接待には当たりません。
ただし、特定の客の近くに長時間留まり継続して談笑する場合は接待とみなされる可能性があります。
距離感と時間を意識した接客を心がけましょう。
③無許可営業が発覚した場合の処罰は?
風俗営業許可なしに接待を行った場合、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、又はこれの併科が科される可能性があります。
また、営業停止処分も受けることになり、事業継続が困難になります。
近年は摘発例が増加しているため、適切な許可取得が不可欠です。
④スタッフが違反行為をした場合、オーナーも罰せられますか?
はい、罰せられます。
現場のスタッフが規則を破った場合でも、処罰を受けるのは店舗とオーナーです。
スタッフへの徹底した教育とマニュアルの整備により、違反行為を防ぐ体制を構築することが重要です。
⑤風俗営業許可の取得にはどのくらい時間がかかりますか?
一般的には申請から許可取得まで1〜2か月程度かかります。
ただし、自治体や申請内容によって期間は異なるため、事前に管轄の公安委員会に確認することをおすすめします。
開業スケジュールには余裕を持って計画しましょう。
⑥カラオケ設置店舗で注意すべき点は?
カラオケ設置店舗では、特に歌唱に関する接待行為に注意が必要です。
客と一緒に歌う、手拍子をする、褒めはやすなどの行為は接待に当たります。
風俗営業許可がない場合は、スタッフに対してこれらの行為を避けるよう徹底した教育が必要です。
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まとめ:風営法を遵守した安全な店舗運営を
今回は風営法の接待の要件や注意点について解説してきました。
風営法における接待は明確に定義されており、適切な許可なく接待行為を行うと重い罰則が科される可能性があります。
店舗の営業スタイルに合わせた許可を取得した上で、しっかりと規則を守って経営を行っていきましょう。
この記事が、あなたの水商売経営成功の一助となれば幸いです。